2018 Fiscal Year Research-status Report
Understanding diverse context of museum visitors: what do they look for in exhibits?
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18K01112
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
田口 公則 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (70300960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広谷 浩子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (10205099)
大島 光春 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (40260343)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 展示見学 / ポートフォリオ / 写真記録 / ふりかえり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自分自身の展示見学を可視化する「展示見学ポートフォリオ」の手法を基礎として、個別的な展示体験の文脈を総合的に捉えることを試みる。「人は、何に反応し、興味関心を抱き、どのような文脈でとらえ、どのような価値を見いだしているか」を知ることを命題としている。 「展示見学ポートフォリオ」は、注目した展示物をデジタルカメラで記録させ、時系列に画像配置したシートに自分自身のメモを追記した展示見の学記録である。このポートフォリオを基に、いかに展示見学の省察ができるかを考えている。関心事のひとつが、展示見学時の「感情」を浮き彫りにする「ジャーニーマップ」へと発展させ、感情に起因する観覧行動との関連の考察である。本研究では、来館者の体験を総合的に捉えることを試みる。すなわち、①デジタルカメラ等を活用した感情記録、②展示ポートフォリオを通じた省察における思考、③展示見学時の行動観察やインタビュー、これらの結果を対照させ展示物がもたらす個別的文脈を明らかにすることで、展示を効果的にみせていくための礎の発見を目的とする。 今年度は、教員向け講座にて「展示見学ポートフォリオづくり」を取り入れ、記録シートに「感情記録」を表現する活動を試みた。結果、展示見学に伴う感情変化を印したシートが作成され、以後の参考となる事例が収集された。また、研究協力者との見学実習を活かし、展示見学者がポートフォリオを利用して展示を見ていない他者を交えたワークショップを試みた。これは展示見学を協働学習として活かしていくひとつの試みとなった。 展示室をフィールドとしたエスノグラフィによる来館者の行動観察では、動線において混乱を生じているケースが見受けられた。このような行動も展示室での体験のひとつとして認識された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の通り、展示見学ポートフォリオづくりのワークショップをを通して、「協同学習」や「感情を含めたの振り返り」という視点を交えた新しい試みを実践した。 しかしながら、来館者アンケート等の実施に至らず、来館者の属性に関するデータを十分に収集することができなかった。まずは、展示見学ポートフォリオを活用しての来館者の動向等を知ることを優先したためである。一方、展示見学ポートフォリオの分析、1)シートに記された書き込みデータについてテキストマイニング等や、2)撮影された展示物の統計的分析については、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
第一、に生命の星・地球博物館の展示室をフィールドにして「展示見学ポートフォリオづくり」をワークショップの実践を重ね、個別的な展示見学のデータを収集する。これらは生命の星・地球博物館での講座、博物館見学実習などで実践する。 第二に、展示見学ポートフォリオシートの活用を考察する。ひとつはポートフォリオ作成者の学びとして、もうひとつは展示見学の文脈を知るための観点での分析と検討である。 第三に、展示室を離れて、森羅万象に対する写真記録の有効性について、野外フィールドでのポートフォリオの可能性を探る。
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Causes of Carryover |
PCの設備の整備に遅れが生じたとともに、データ分析での雇用等を控えたために使用額が減じた。
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