2018 Fiscal Year Research-status Report
公文書から発生するチオール類の吸着除去シートの開発
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18K01116
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Research Institution | Ehime Institute of Industrial Technology Paper Technology Center |
Principal Investigator |
西田 典由 愛媛県産業技術研究所(紙産業技術センター), 技術支援室, 主任研究員 (80502898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 智恵美 別府大学, 文学部, 教授 (40175104)
大橋 俊平 愛媛県産業技術研究所(紙産業技術センター), 技術支援室, 主任研究員 (40502894)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 悪臭 / 文書館 / 吸着剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
文書館等では、収蔵する紙資料から発生する悪臭に悩まされている。悪臭の原因は、青焼き(青図)に用いられている染料と、燻蒸に用いる燻蒸剤が反応して発生するチオール類とされている。そのため、今年度は、チオール吸着シートの開発および文書館等の大気調査を実施した。 過去に申請者が実施した研究で、ある種の粘土鉱物粉体に金属イオンを担持させたもの(以下、金属担持粉体)が、チオール類と性質の近い硫化水素を強く吸着することが確かめられていた。そこで、金属担持粉体のチオール吸着性能を試験したところ、金属担持粉体はチオール類も強く吸着することが確認された。そこで、粘土鉱物粉体に金属イオンを担持させたものを紙に漉き込むか、あらかじめ粘土鉱物粉体を紙に漉き込んだ上で金属イオンを含む溶液を塗工することで試作することに成功した。今後、試作吸着シートを実際の文書館等に持ち込み、臨床評価を実施する予定である。 一方、複数の文書館等の環境を調査した結果、文献とは異なり、悪臭原因としてチオール類ではなくスルフィド類・ジスルフィド類・トリスルフィド類(これらを総称して、以下スルフィド類とする)が検出され、これらが臭気の原因であることが強く示唆された。さらにいくつかの施設で調査を行う必要があるが、これまでの知見が誤りであった可能性が高い。そのため、急遽、試作したチオール類吸着剤のスルフィド類吸着試験を行った。その結果、粘土鉱物に銀を担持させた物が、ジメチルジスルフィドを強く吸着することが確認されたた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「悪臭原因物質が過去の知見と異なる」ことが遅れの最大の要因である。文書館等の臭気原因は、青図に含まれるアゾ染料と、燻蒸剤に含まれる臭化メチルが反応することで発生するチオール類であるとされてきた。しかし、実際に複数の文書館で環境調査を行った結果、チオール類は全く検出されず、スルフィド類が検出された。チオール類もスルフィド類も、分子中に硫黄を含み組成式も同一になる場合があるため、過去の分析者が分析時に混同した可能性が考えられる。 これまではチオール類吸着性能に着目して吸着シートの開発を行ってきたため、前提が覆ることになった。吸着剤のスルフィド類の吸着性能試験を行った結果、スルフィド類に対する高い吸着性能が確認できたが、この試験の影響でやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】に書いた通り、悪臭原因がチオール類ではなくスルフィド類である可能性が高い。そこで、さらに多くの文書館等で調査を行い、本当にスルフィド類が原因なのか確定させる必要がある。現在、いくつかの施設に調査の打診を行っている。 8月までに吸着シートを抄紙機で大量試作し、9月中にラボでの吸着性能試験を行ったうえで、10月以降に実際の公文書館等に持ち込み臨床試験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度、国際学会(韓国)に出席する予定であるため、昨年度分の旅費を今年度分に振り替えた。
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