2019 Fiscal Year Research-status Report
Countermeasures to bird strikes of a glassy museum building based on detailed analysis of strike data for a decade
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18K01117
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
木川 りか 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 課長 (40261119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 純子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部博物館科学課, 主任研究員 (10532484)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 衝突野鳥対策 / 博物館 / IPM |
Outline of Annual Research Achievements |
外壁にガラスを多用したデザインの博物館・美術館建造物は多数あるが、建物が森など自然の豊かなエリアに隣接する場合、建造物のガラス面における衝突野鳥の問題が発生している例は多い。博物館、美術館など建物の場合、観覧者への配慮から農業分野で用いられるような野鳥を忌避させるための大きな音や臭気などの方法が使えないことや、建物の見た目の美しさも要求されるため、網などの設置や、駅などで採用されているスパイク状の飛来防止器具などを設置することも困難である。九州国立博物館では、2005年の開館以来、総合的有害生物管理(IPM)の考え方を取り入れた運営を継続しており、衝突野鳥に関しても詳細なデータを記録・蓄積してきており、衝突の傾向を踏まえ、2016年度以降、照明を利用した対策について実施してきている。今年度は、早朝にタカなどの鳴き声やカケス等の警戒音を衝突の多いエリアで流す対策の効果をさらに検証した。音声による対策は、導入直後はかなり効果が実感されたものの、しばらくすると慣れが生じるためか効果が薄れてきているようであり、音声を流す期間を間欠的にするなどの工夫も行った。対策前の衝突数よりは、衝突件数は減少しているもののまだ衝突する例はあり、カラスに追われて野鳥が衝突している例もあることがわかった。また、近くのクスノキの群落の立地など、餌場を含む複合的な要因に対応する必要性も明らかになってきたため、近隣のクスノキの枝を剪定し、その効果の検証を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
音声による対策を継続的に試行した。タカなどの声やシロハラやカケスの警戒音を早朝に外部スピーカーから建物北面に流した。また長期同じ音源を流すと、慣れが生じる可能性があることから、それぞれの音声を間欠的に、規則性がない形で流す工夫をした。音声が流れている早朝については、ある程度効果がみられたが、音声を流せない、また照明もついていない昼間については、衝突が防げないという点が次の問題点として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで博物館の建物の外観に影響を及ぼさないような夜間照明、音声による対策を試みてきた。しかし、ガラスへの森の映り込みによる影響がより大きい太陽が昇ったあとから昼間にかけては、照明の効力が失われ、また開館時間は音声による対策が適用しづらいなど、昼間の衝突対策については万全な状況とはいえない。さらに、野生のカラスがこのガラス面を利用して野鳥を追い込んで狩りをするなどの現象も衝突要因とみられる。衝突頻度の高い建物北面の近隣で、野鳥の餌場となるクスノキなどの木を剪定し、餌場を減らすなどの対策も試みており、このような複合的な対策がいかに効果を発揮するかデータをとり、分析を重ねていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度実施した内容によりほぼ予定額を使用したが、役務で当初見込んでいた額が少し少なくすんだため、次年度に503円だけ繰越を行うこととなった。
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Research Products
(2 results)