2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation and application on reexamination and high accuracy of identification of not emerged surface
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18K01121
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
黒木 貴一 関西大学, 文学部, 教授 (40325436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 健介 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60423620)
宗 建郎 志學館大学, 人間関係学部, 准教授 (60713683)
池見 洋明 日本文理大学, 工学部, 准教授 (90380576)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GNSS / UAV / SfM / 地形区分 / 火山山麓 / 神社 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,大規模な標高変化が続く桜島に焦点を絞り,その変化を捉える衛星画像,空中写真,LPデータを用いた1)-3)の方法により地形及びその変化の特徴を整理した。また現地調査から分析結果を補完した。それぞれ1)Google Earth衛星画像の最尤法による土地被覆分布の確認,2)LPデータによる約1~10年間の標高変化と,3)UAVのDJI Inspire 2 Droneで取得した空中写真による1年間の標高変化を見た。1)では,現地調査で得た微地形別の土地被覆状況を自動分類できており,さらに土地被覆分類は微地形区分に読み替えられることが分かった。地形は,高い方から,残丘,段丘Ⅰ面,段丘Ⅱ面,運搬面であり,この順序は地形面の離水の順序でもある。2)では,標高増加は上流で多く下流で少ない,標高増加の多い場所が放射状に分布する特徴を確認した。これより未離水及び数十年~数年安定の離水した微地形が持つユニークな地形発達過程が明らかとなった。3)では,2)で識別できた地形のうち,未離水面での洪水に伴う土砂運搬と侵食と堆積,最低位の離水面で生じる標高変化を伴わない土砂運搬過程が鮮明となった。これより火山山麓で約10年間に生じた土砂移動により微地形が顕在化する地形発達過程を高い時間分解能で推定できた。 一方谷底低地に対しては,筑紫平野において100社以上の神社奉納物を対象に,自然災害の記録確認を継続した。この結果,神社は未離水面でもより安全な地理条件地に鎮座するため水害の記録はなく,台風と地震による記録をもつ奉納物が見られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
火山山麓,一般山地の山麓,谷底低地で,地質年代から見て時間内に,標高変化の激しい場において未離水面の抽出を目指す当初計画で,昨年度に地形変化の激しい火山山麓に重点を置く若干の修正をした。現地調査に関しある程度達成できたが,十分に達成できなかった点も残った。以下その背景を示す。 1)桜島での定量的な標高変化の検討は,COVID-19蔓延に伴い現地作業の日数確保が難しくなり,UAVによる空中写真の撮影範囲を十分に確保できず,未離水面での土砂堆積を中心とする分析に止まった。2)昨年設置したGCPの8割が土砂堆積で逸失し,GCP再設定に時間を要し,それに伴うGCP座標精度の低下が生じ,解析結果に若干の誤差が加わった。3)COVID-19対策に時間を要し検討結果を整理することが遅れ,また成果を公開する機会も多く失われてしまった。4)谷底低地に対しては現地調査の時間が不足したため,未離水面のより低い場所での検討に及ばず,水害記録の発見に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間延長が認められたため,R3年度に若干の追加現地調査を加え,情報を整理した後に学会発表により成果報告を行う(研究代表者)。また研究分担者により各所属学会における発表を行う。さらに次の研究展開を見据え,丸森町の緩斜面と球磨川沿岸の被災状況を例に一般山地内で,10の4乗年で見て離水している地形内で生じた斜面崩壊や氾濫現象の地形学的な意味を確認する。加えて未離水面のより低い場所での災害記録を見出し,未離水面認定での時間と空間の精度を上げた整理も行いたい。
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Causes of Carryover |
1昨年の遅れがそのまま継続し,またそれに加え終息の見えないCOVID-19への慎重対応も加わり,現地調査が十分に実施できなかった点,成果報告の学会対応が遅れた点が使用遅れの背景にある。また学会開催が遠隔リモートに変更され,予定した旅費の執行機会を失った。 令和3年度の使用は,国際学会を含む学会報告等の発表経費を中心に,丸森町の緩斜面,球磨川沿岸の被災状況,筑後川下流域の未離水面の地形調査を追加実施したい。
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