2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploiting geometric features of natural terrains to construct terrain models
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18K01126
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
五島 洋行 法政大学, 理工学部, 教授 (00398950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島川 陽一 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10446239)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数値標高モデル / Contour-Based Network / 等値線 / 曲率ベクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
数値標高データを用いた地形解析,特に非線形な地表モデルの解析と標本化方法の構築を研究期間全体の大テーマとし,2019年度は主に,標高zの一階・二階微分とそれらの組み合わせを用いた,尾根や谷などの特徴線の検出と標本化について検討した。 等高線に代表される等値線の検出の場合,制御点探索の際に追従誤差が生じても,方程式f(x, y)=0を満たすように制御点を適切に調整すれば,追従誤差を少なくすることができる。これに対し落水線などの検出においては,特に尾根のような凸型の形状を持つ地表面は,一階微分の情報だけでは各ステップにおける追従誤差が避けられず,全体として大きな誤差を含んだ軌道を検出する可能性がある。 そこで2019年度は,ヘッセ行列やその二乗の行列を用いて,落水線に沿った3次元の曲率ベクトルを新たに導出し,曲線の曲がりの程度に応じてステップ幅を調整し,追従誤差を小さくかつ制御点数を少なくする方法について検討した。当該・関連分野において,曲率(curvature)と呼ぶ特徴量は様々なものが考案されており,主なものだけでも20種類程度ある。今般導出した曲率ベクトルは,その中の2種類の曲率と関係が深いが,ベクトル量であるため,曲線の方向に関する情報も採ることができる。この曲率ベクトルやヘッセ行列を組み合わせた特徴量を用い,制御点間を区分的な円弧などで補間することで,滑らかな曲線が再現できるだけでなく,長さなどの特徴量も高精度に計算することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非線形の地表モデルを用いる場合,線形モデルと比較して,極大・極小点が多数存在し,それに伴う技術的困難がいくつか見つかった。例えば,「浅く口の広い盃」状の地形では,極小点に接近するほど曲率は大きくなるため,制御点を細かく取る必要があり,計算時間の増大と制御点数の増加という問題が発生している。また,最急降下やその派生的な概念を用いた方法では,小さな窪地であっても極小点を検出した時点で計算が終了してしまい,マクロな意味での落水線検出とならない場合がある。これらの問題に対処するため,追加での関連文献調査や試験的実装,数値実験などが必要になっている。 またCOVID-19の拡大に伴い,国際会議での情報収集や海外の共同研究者と対面での打合せが中止または保留になっており,特に海外の研究協力者との連携が,当初予定の水準では実施できていない。 以上のような状況により,当初の想定よりも進捗にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究自体は地理情報学の一部として位置づけているが,関連・周辺分野は多岐に渡り,研究遂行の参考になる可能性のある文献も,新たに相当数見つかった。伝統的な分類に基づいた分野の近さ/遠さの感覚や,研究者個人の先入観にとらわれることなく,幅広い分野で情報収集を積極的かつ迅速に行い,技術的困難の克服に努める。 また本報告書執筆時点では,COVID-19の影響がどの程度継続するか見通せないが,文献調査や試験的実装など,個々が独立して進められる研究を可能な限り先に行い,また遠隔会議による情報交換なども従前より高頻度で行うようにするなど,小さな工夫を複数組み合わせることで,遅延の回復を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により,予定していた国際会議への渡航を取りやめたため,特に海外旅費関連で剰余が生じた。学術論文誌への掲載の際に,OpenAccessオプションを選択することで,剰余額の現状をある程度見込んでいる。 本報告書執筆時点では,国外への渡航や,海外の研究協力者の招聘などについては,実施の可否が見通せていない。
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