2021 Fiscal Year Annual Research Report
The change of the distribution of plants and animals in Tohoku region in the 18-19th century using the documents with products of nature
Project/Area Number |
18K01132
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
渡辺 理絵 山形大学, 農学部, 准教授 (50601390)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 東北 / 動植物 / 18-19世紀 / 分布 / 産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は近世および近代初頭に作成された産物を示す資料(産物データ)を用いて東北地方の動植物の分布相とその変化を明らかにする地理学的研究であった。 前年度における岩手県における産物のデータベース構築につづいて、最終年度における今年度は前々年度において取り組んだ山形県の産物のデータベースを用いて、焼畑作物の分布から、近世における庄内地域の焼畑の展開にアプローチした。 産物データベースから、庄内における焼畑中心地は,管見の限り,最上川以北(川北地域)の鷹尾山一帯と最上川以南(川南地域)の西側地域(旧西田川郡)にあった。このうち,個人名請けがみられるのは後者である。そこでは名請人の多様な階層で焼畑耕作が展開している。分析した2村の1戸あたりの平均焼畑面積は1反にも満たない小区画であるが,複数の耕地をあちこちに有する分散性が看取される。中心的な焼畑作物を特定することは叶わなかったが,新潟県旧山北村の例では「粟小豆稗」が知られ,鷹尾山周辺ではヒエを除いた基幹作物の栽培が想定された。 他方,最上川以北の地域では入会山における焼畑耕作では、近世後期以降,焼畑地は面的に拡大する傾向があったが,その主因の1つには山の利用をめぐる平場村々との競合があった。とくに植物の生長を考慮した適地選択を行っており,焼畑適地は入会山に求められていたことが示唆された。さらに面的拡大の背景には,2~3年連作による休閑期間の長期化という農法上の変化が示唆される。焼畑地の面的拡大に対する平場村々からの抗議の初出は宝暦13(1763)年であり,拡大の背景が同様の主因とすれば,18世紀中頃は庄内藩領における焼畑耕作の展開の1つの画期という捉え方も提示できよう。最終年度は産物データベースの活用を軸に、「焼畑の近世」という方向性を示した。
|
Research Products
(3 results)