2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01135
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
武者 忠彦 信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (70432177)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 都市再生 / リノベーション / 中心市街地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は長野県長野市および松本市の中心市街地を事例に,リノベーション建築という媒体を通じて創造的人材が特定の空間的文脈のある場所に惹きつけられ,地域社会に根付いていくプロセスを実証的に明らかにすることを目的としている。両都市とも「創造都市化」および「都市の文脈化」のプロセスによって中心市街地再生の動きが生じていると考えられるが,それが地域固有の条件下で生じたのか,それとも普遍的なプロセスとして一般化可能なのか,本研究では1)空間資源の可視化,2)創造的人材の流入,3)空間的文脈の継承,4)地域コミュニティの再構築という4つのテーマを設定し,2020年度はこのうち,4)のテーマについて分析を進めた。 リノベーションは対象となる空き家を探索したり,自ら施工したりする過程で,必然的に地域コミュニティとの接点が生まれる。さらに,地域で生活や生業を営むなかでコミュニティとより深く関わりを持つことで「門前暮らし」の社会的文脈を意識し,継承することになる。本研究では,調査対象のリノベーション入居者66名に対して,善光寺門前エリア内でリノベーションを検討しはじめてから知り合いになった顔と名前がわかる人物を順に5名挙げてもらう方式などでコミュニティの実態を把握した。その結果,コミュニティとつながる過程において,初期のジェントリファイヤーらをハブにした大きなネットワークが形成されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度に予定していたリノベーション物件入居者に対するコミュニティに関するアンケート調査は完了したが,入居者に対する個別のヒアリング調査は新型コロナウィルスの影響により実施することができなかった。この調査については研究期間を延長して翌年度に実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の調査の積み残しであったリノベーション物件入居者に対するヒアリング調査について,調査補助アルバイトなどを雇用して迅速に進める。新型コロナウィルスの影響が引き続き危惧される場合は,対面方式を取りやめ,電話やメールによる代替手法の可能性を早めに検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた調査のうち,現地での対面によるヒアリング調査が新型コロナウイルスの影響で中止せざるを得ず,旅費および人件費・謝金を中心に未使用金額が増えた。最終年度となる2021年度は,これらの積み残したヒアリング調査を実施する予定であるが,コロナウイルスの状況によっては,電話およびメールによる調査に切り替えて実施する。
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Research Products
(5 results)