2020 Fiscal Year Research-status Report
The comparison study on the Location Optimization Plan in Japan and the town centre first policy in UK
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18K01139
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
根田 克彦 奈良教育大学, 社会科教育講座, 教授 (50192258)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 商業ジェントリフィケーション / タウンセンターファースト政策 / エスニック資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は,インターネットを用いて,ロンドン大都市圏,インナーシティに位置するタワーハムレッツ・ロンドン特別区のディストリクトセンターである,ブリックレーンタウンセンターに関する新聞記事,さまざまな機関が発行する報告書を収集した。さらに,これまでの調査と,2019年度の予算で実施できた,2020年2月の渡英における土地利用調査とから,ブリックレーンタウンセンターの土地利用の変化を検討した。 ブリックレーン一帯は,古くから何度も移民が移住してゲットーを形成した衰退エリアであったが,1960年代以降バングラデシュからの移民が多く流入して,ロンドン最大のバングラデシュ系住民のゲットーが誕生した。それにより,ブリックレーンタウンセンターは,イスラム教徒に財とサービスを提供するエスニック商店街として発展した。さらに,タワーハムレッツ議会の開発戦略により,カレーを提供するレストラン(カレーハウス)の開業が奨励された。さらに,賃貸料の安さとシティに近いことから,若手芸術家が居住するようになり,芸術家とクリエイティブ産業が集積し,ストリートアートも注目されるようになった。それにより,ロンドンだけではなく,全国から顧客を集める観光地として発展した。 しかし,観光地として発展するとともに賃貸料も急騰し,ブリックレーンでは,商業ジェントリフィケーションの可能性が指摘できた。商業ジェントリフィケーションの実態に関して,さらに調査が必要である。それらの成果を,下記の研究論文として発行した。 根田克彦(2020):イギリスにおけるタウンセンターファースト政策と商業統計.ESTRELA,No.313,10-15. 根田克彦(2020):ロンドン,タワーハムレッツにおけるブリックレーン商業集積地とタウンセンター政策.地理空間,13,179-196.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年は,新型コロナウイルス感染症の影響で,イギリスへの調査だけではなく,国内の調査もできなかった。 それでも,今までの調査結果と,インターネットを用いて,新聞記事やさまざまな機関が発行する報告書を収集し,それにより,ロンドン大都市圏,タワーハムレッツ・ロンドン特別区のブリックレーンタウンセンターにおいて,商業ジェントリフィケーションが生じている可能性を指摘できたことは大きな成果である。商業ジェントリフィケーションは,日本の立地適正化計画における都市機能誘導区域(特に中心市街地)の整備に際して生じる可能性があるかもしれないので,研究を続ける価値がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年も調査が困難である。日本国内の立地適正化計画の実態を調査することに集中することも考えられるが,昨年,イギリスのタウンセンターの活性化にともなう問題である,商業ジェントリフィケーションの可能性を指摘したばかりである。本年は,タウンセンターファースト政策により,活性化されたタウンセンターにおける商業ジェントリフィケーションの問題を調査し,それが都市内のタウンセンターの階層構造に及ぼす影響を検討したい。日本の立地適正化計画では,都市機能誘導区域の位置づけを示しているが,その活性化による問題点は触れられてない。また,日本で商業ジェントリフィケーションが生じるかどうか,生じる場合の問題点について考えたい。もし,9月の夏季休暇の時期にイギリスに調査に行けなければ,2・3月に調査する予定であるが,それも不可能であれば,科研を来年度に延長しなければならないかもしれない。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で,イギリスだけではなく,国内の調査も不可能になったため,旅費を使用することはできなかった。また,学会発表もオンラインで行ったため,学会発表での旅費も不要となった。本年は,イギリスでの調査に40万円,国内の調査と発表に10万円,2万ほどでデジタルカメラを購入する予定である。
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Research Products
(3 results)