2021 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム・メコンデルタにおけるグローバル果樹産地の形成過程および土地制度との関係
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18K01140
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金 どぅ哲 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (10281974)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 果樹産地 / グローバル化 / スターアップル / ベトナム / メコンデルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,新型コロナウイルスによる移動制限が解除されれば、昨年度に中止せざるを得なかったティエンジャン省・チャウタン 郡・ヴィンキム村における継続調査(果樹産地への転換と土地制度との関係)と、ドリアン生産の中心地であるティエンジャン省・カイライ郡・グヒアップ村における現地調査を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響ですべての現地調査は中止せざるを得なかった。そこで本年度は一昨年度までの現地調査で得られたデータの整理を行うとともに、ベトナムにおける農産水産物のグローバルサプライチェーンの形成過程と農村地域社会の変容に関する文献サーベイを行った。 その結果、ベトナム産農産物の輸出は輸出量の急成長とともに、その輸出先も多角化してきたが、そこにはグローバルな農産物認証制度が深くかかわっていることが分かった。すなわち、アメリカや欧州諸国をはじめとする先進国へ輸出するためにはグローバルな農産物認証を取得する必要があるが、認証の取得に必要な資金調達が困難な小規模生産農家は中国など認証制度の緩い国・地域への輸出を担う仲買人・輸出業者に包摂されていく。一方、先進国向けの輸出を行う仲買人・輸出業者はグローバルな農産物認証基準を満たすため、契約生産を通して生産農家を垂直統合している。その結果、個別生産を行う小規模生産農家と契約生産を主とする中・大規模生産農家とに階層分化が進んでいることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で本年度の課題として計画していた現地調査はすべて中止となった。ただ、前年度までの現地調査結果と文献サーベイから、グローバルな農産物認証制度による生産農家の階層分化が進んでいることが確認されたことは注目に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,新型コロナウイルスによる移動制限が解除されれば、本年度に中止せざるを得なかったヴィンキム村における継続調査とグヒアップ村における現地調査を行う。また、ベトナム・メコンデルタの農業・農村がグローバルサプライチェーンに組み込まれる過程でローカルな土地制度が果たした役割について結論を導くため、各事例の比較分析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度に計画していた現地調査が新型コロナウイルスの影響で中止されたため。 新型コロナウイルスによる移動制限が解除されれば、本年度に中止せざるを得なかった現地調査を行う。
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Research Products
(3 results)