2019 Fiscal Year Research-status Report
歴史的・社会的背景からみた中国沿海部の産業発展の地域差と展開可能性に関する研究
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18K01144
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 康久 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10362302)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小売業 / 販売店の展開 / 自動車ディーラー / フランチャイズ方式 / 中国 / 経済発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国沿海部における産業発展の地域的状況について、温州地域発祥の靴メーカー意爾康社と珠江デルタ地域にある広州汽車社をパートナー企業として中国に進出した広汽トヨタ社を事例として検討した。特に中国の市場としての地位の高まりに注目するために、内陸部を含む中国全土への店舗展開や販売網の確立の状況について調査を行い、論文を執筆した。また、研究成果を英語にて国際的に発信することを重視し、広汽トヨタ社についての論文は英語論文として、韓国の経済地理学の雑誌に掲載させた。また、靴メーカーの意爾康社についての研究は、日本の学会誌『都市地理学』に英語論文として掲載された。 研究の結論として、以下の点が指摘できる。中国の靴メーカー意爾康社の場合は、フランチャイズ方式にて中国全国への店舗展開と販売網の確立に成功しているが、本部とフランチャイズオーナーに加えて、フランチャイズオーナーを管理する地域代理商を含めた3者の間で利益配分を行う必要があるため、本部が十分な利益を確保できないという課題が顕在化しつつある。その一方で、広汽トヨタ社では、同社が独立した販売店であるディーラーに対して、十分な顧客サービスを提供することを要請した結果、ディーラーが十分な利益を得ることができなかったり、ディーラーの確保が難しくなっているという課題があることが明らかになった。 この他に、経済発展にともなう住民生活の変化について、特に住宅購入に着目した研究も行い、2本の論文が査読付き雑誌に掲載(あるいは掲載決定)されるという成果を挙げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の公表状況としては、いずれも査読誌に英語論文2編と日本語論文2編を掲載(掲載決定のものも含む)させることができた。他に投稿中あるいは投稿予定の論文もいくつかあり、研究成果の発信という点では、一定の成果を挙げることができたと考えている。 ただし年度末には、中国福建省に現地調査に行く予定であったが、コロナウィルスの影響により、出張を断念した。来年度も現地調査に行くのは、かなり難しいと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
年度末には、中国福建省に現地調査に行く予定であったが、コロナウィルスの影響により、出張を断念した。来年度も現地調査に行くのは、かなり難しいと予想される。 今後の研究の進め方としては、既に調査を終えた研究の学会誌への投稿・掲載を進める等して、研究成果の発信に力を入れたい。 また、現在調査中あるいは調査予定であった研究については、中国の研究協力者を通じたデータや情報の入手を行い、研究を続けていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響により、中国への出張計画が中止になり、未使用分が生じてしまった。次年度の使用計画については未定であるが、研究代表者自身が中国に渡航して調査を行うのは難しいため、研究協力者への謝金として使用する計画がある。
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Research Products
(12 results)