2022 Fiscal Year Research-status Report
歴史的・社会的背景からみた中国沿海部の産業発展の地域差と展開可能性に関する研究
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18K01144
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 康久 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10362302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高 寧 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究者 (80947367) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 沿海部地域 / 経済発展 / 地域差 / 社会的文化的背景 / 大連 / 青島 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、中国において、沿海部地域の中でも、産業発展のあり方に地域差がみられる点や、その背景を検討することを試みてきた。本年度は、東北地方の中で、日系企業の進出が顕著にみられてきた遼寧省大連市や、華北地域の中で韓国企業を中心とした外資系企業の進出が顕著にみられた山東省青島市の事例を検討してきた。また、沿海地域の周辺部ともいえる広西自治区桂林市や中部地域の安徽省黄山市における観光業の例なども検討することで、産業発展の地域差の背景について理解を深めようとしてきた。大連の事例については、2編の英語論文で、また黄山市の事例については刊行予定の英語論文で、桂林市の事例は学会にて口頭報告の形で発表している。青島市の事例については、未発表であるが、今後、何らかの方法で発表していく予定である。これらの発表済みあるいは発表予定の論文・研究では、必ずしも本研究課題に即した総括をするまでには至っていないものの、特に東北・華北地域における研究成果からは、中国の沿海部地域の中では、東北・華北地域の諸都市においては、地域内において経済発展が顕著とみられている都市であっても、上海を中心とした華東地域や深セン・広州を中心とした華南地域に比べると、経済発展のペースは比較的遅く、中国全体の中で占めるプレゼンスは低下する傾向がある点が指摘できる。その理由としては、これらの都市では、地方政府レベルにおいて、地域経済の発展だけでなく、社会の秩序や安定を重視する施策を重視する傾向がみられる可能性がある。この点については、最終年度である来年度に、さらなる検討を行い、結論を出していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、全体的に研究の進捗が遅れてしまい、研究期間を1年間延長することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスが落ち着きを見せ始めたため、最終年度である今年度は、研究を完成させることができると考えている。遅れながらであるが、個別の地域での事例研究はある程度行うことができているため、今年度は、何らかの総括をできるようにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により研究計画が遅延してしまったため。残額はそれほど多くはないので、次年度には、使用可能とみられる。
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