2022 Fiscal Year Research-status Report
離島地域における生活インフラの状況と多機能化による集落機能維持に関する研究
Project/Area Number |
18K01147
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
宮内 久光 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (90284942)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 生活インフラ / 多機能化 / 小さな拠点 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1の研究課題である生活インフラの状況に関して、これまで離島の生活の基盤となる交通インフラを取り上げて,日常生活圏レベルとして最寄りの中心都市での滞在可能時間(PST)という指標から,広域圏レベルでは空港整備と航空ネットワークの変化から考察してきました。また、第2の研究課題である多機能化による集落機能維持については、昨年度までの沖縄県座間味島での調査を継続してきました。これらの研究成果はこれまでも日本地理学会などで発表してきましたが、本年(令和4年)度はこれらを論文化し、Insularity and Geographic Diversity of the Peripheral Japanese Islandという英語叢書をSpringer社から出版して公開しました。 最後の課題としている「小さな拠点」事業に関する現状分析と課題に関しては,令和3年度までに国土交通省による実態調査(2020年5月現在)結果を用いて集計分析をしました。その結果,架橋島を除く有人離島には,北海道から沖縄県まで14道県の28市町村に77箇所(全体の5.6%)の「小さな拠点」が形成されていました。離島地域の「小さな拠点」は小規模であり,運営組織も非法人組織が中心で,集落行事を行うことを目的とした集落住民の「精神文化の紐帯」づくりを重視する特徴があることが明らかになりました。さらに定性的な考察を行うためにアンケート調査と現地調査を実施する予定だったのですが,コロナ禍などのため,本年度も現地での実態調査などが全くできなかったため,今後は現地調査に基づく現状と課題を検討していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「小さな拠点」に指定されている有人離島の77か所に対してアンケート調査や現地聞き取り調査を行う予定でしたが,今年度もコロナ感染に伴う様々な状況を鑑み,アンケート調査や現地調査を行いませんでした。また,昨年度までの研究結果を英語叢書で出版するために多大の労力と時間がかかったこと,今年度も予定をしていなかった学内での役職などを兼務することになり,新たな研究時間が十分に確保できませんでした。 英語叢書出版で本研究課題の目的はほとんど達成されていますが,最終年度を1年間延長していただきながら研究課題の一部の調査が実施できなかったことから,進捗状況が「遅れている」と判断しました。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナが5類になり次第、本研究課題でやり残している「小さな拠点」事業の現状と課題について,早急に現地調査などを行い,これまでの研究成果と合わせて最終的な研究成果を発表する予定です。
|
Causes of Carryover |
今年度もコロナ感染症の影響が続き,長期にわたり行動制限が実施されました。特に離島地域はコロナに対する脆弱性が高く,現地調査を自粛しました。そのため,年度予算で計上していた旅費の執行ができず,結果的に次年度使用額が生じることになりました。研究期間を1年間再延長させていただき,コロナ感染症が5類になって行動制限が解除されたのちに,予定していた宮古島,奄美諸島,対馬などへの現地調査の日程を早急に組み,実施したいと考えています。
|