2021 Fiscal Year Research-status Report
渋谷再開発を契機とした新しい都市的コミュニティの創造に関する研究
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18K01151
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
田原 裕子 國學院大學, 経済学部, 教授 (40282511)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 渋谷再開発 / オフィス再編 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京都では2021年度に入ってからも断続的にまん延防止等重点措置・緊急事態措置地域に指定されたため、計画していたクリエイティブワーカーの働き方についてのアンケート調査を実施することができなかった。そのため2021年度は、①コロナをきっかけとするリモートワークの普及が東京の業務地域にもたらした変化と渋谷の特徴、②今後の都心再開発の動向と渋谷の位置づけについて、各種資料に基づいて分析を行った。 その結果、1)2020年度には東京の他の業務地域に先駆けて空室率の上昇、賃料の低下が確認された渋谷だったが、2021年度に入ってそうした動きに歯止めがかかったこと、2)渋谷に立地する(した)企業においても、オフィス縮小・撤退に限らず、ポストコロナを見据えて渋谷エリア内外でオフィスを再編する動きが見られること、それに伴って大規模再開発ビルでも転出入が生じていること、3)IT関連の企業が多く立地する渋谷ではオフィス出社率が低いことが予想されたが、実際には大企業が多く立地する旧都心エリアに比べて出社率が高かったこと、4)2020年代後半から30年代にかけて都心3区と新宿駅周辺地域において大規模再開発が計画されており、都心のオフィス(ビル)間の競争が激化することが予想され、その中で渋谷が埋没する可能性があること、一方、渋谷再開発においてコロナ以前から進められていた交流・共創事業や拠点居住支援施策が渋谷の強みとなる可能性があること、などを明らかにした。 研究の一部は日本学術会議地域学分科会(第25期第4回 2021年11月20日開催)において「コロナ渦のもとでの渋谷再開発」と題して研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究が注目したのは、シェアオフィスやカフェなど、勤務先のオフィス以外の場所での出会いをきっかけにした知識や情報のやりとりであり、アンケート調査等を通じてクリエイティブワーカーの働き方を時空間的に把握することを目的としていた。しかし、これまでのところクリエイティブワーカーの働き方やシェアオフィスの実態に関してパイロット調査は行ったものの、コロナの影響でアンケート調査等は実施できていない。また、新たな住民のコミュニティ活動への参加についても、コロナの影響でイベント自体の中止が相次いだため、調査を実施することができなかった。 一方、これまでの研究で渋谷において新しい働き方が普及した背景を明らかにすることができた。すなわち、渋谷再開発の経緯を詳細に調べることで、職・住・遊が近接した空間の整備がどのように計画され、実現したのかを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
現状ではコロナに伴う行動制限は解除されたため、クリエイティブワーカーやシェアオフィスを対象とした調査が再開できると思われる。ただし、リモートワークの普及に伴い、申請時に想定していた働き方・働く場所からは変化したことも予想されるため、定型的なアンケート調査ではなく、聞き取り調査を通じて、クリエイティブワーカーの働き方についてコロナ前後での違いも含めて明らかにしたい。 また、地域における祭りやイベントも2022年度は開催の動きが見られる。主催者への聞き取り調査などを通じて、再開発に伴って新たに転入した住民や近隣のオフィスワーカー等の参加状況を調べることで、再開発に伴う地域社会の変化についても考察したい。
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Causes of Carryover |
予定していたアンケート調査が実施できなかったため。 出席予定だった学会がオンライン開催となり、旅費の支出がなかったため。
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