2023 Fiscal Year Annual Research Report
Gender and The Community Space built by Japanese in Hawaii
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18K01155
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
影山 穂波 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00302993)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジェンダー / 居住空間 / 権力 / ハワイ / 日系人 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度から継続して、戦前から戦後にかけての日系人・日本人に関する資料の整理を行った。女性たちのハワイ社会における位置づけに関する資料が中心であるが、日系人の第二次世界大戦における状況についても資料を収集、整理をした。またジェンダー視点での地理学研究を進める意義についても確認し、『ジェンダーの視点で読む都市空間』を編集した。 調査は第1に、戦後、GHQの支配下で日本に駐留していた軍人・軍属などと結婚してハワイに渡航したいわゆる「戦争花嫁」に関する資料を整理・検討した。女性たちの置かれた状況が、時代によって影響を受けており、ハワイで生活をすることを選択して暮らしている状況が明らかになった。現在、80歳代、90歳代になっており、高齢化したことで生じるケアの問題や言語の問題が生じていた。 第2に、ハワイへの桜の植樹運動について調査を進めた。高知の牧野植物園との交流が続いており、オアフの植物園との関係が生じていた。苗木のまま残されていた桜もすべて植樹され、新しく花をつけ始めていた。 第3に戦時中の日系人の動向について資料収集した。ハワイの強制収容施設に収容されていた人たちのライフストーリーからは、孤立した生活の中で自分を保ち続ける困難さが記されている。同時に戦後の日系兵と相違にも注目した。そこで、日系兵がヨーロッパ戦線での業績がどのように表象されているのか調査を実施した。ヨーロッパ戦線での第442連隊の活躍は、ハワイにおいては有名であるが、日本でもあまり知られてはいない。人種民族的なバックグラウンドから、戦時中において軍本部から信用を得ることが難しかった状況をみると、大戦中のフランスアルザス地方の置かれた状況と類似している点が見られた。 第4にハワイにおける日系人・日本人が精神的なよりどころとしてきた宗教にも注目した。本年度は天理教会に話を聞いたが、この問題は今後の課題として残された。
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