2020 Fiscal Year Research-status Report
現代インドにおける環境政策・環境運動・宗教実践の多元的展開に関する人類学的研究
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18K01170
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 美保 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (40432059)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インド / 環境保全 / トラ保護区 / 部族民 / 環境運動 / カルナータカ州 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、COVID-19のためにインド・カルナータカ州での現地調査を行うことができなかった。そのため、新たな一次資料を得ることには限界があった。しかし、これまでの研究成果を論文にまとめ、下記の業績として発表した。 2021 石井美保「多元世界としての森を生きる―インド・西ガーツ山脈における自然保護と在来性」石井美保・岩城卓二・田中祐理子・藤原辰史編『環世界の人文学-生と創造の探究』人文書院、pp. 193-217. また、京都大学人文科学研究所の開催する二つの共同研究班において、インドの自然保護区に関するこれまでの現地調査と文献研究に基づく口頭発表を行った。 1)’Conservation, Experiments, and Biopolitics’ 人文研共同研究班「実験性の生態学:人新世における多種共生関係に関する比較研究」2020.11.28 2)「「自然環境」と「野生」のはざまで:近代プロジェクトとしての開発と自然保護をめぐる問題」人文研共同研究班「環境問題の社会史的研究」2021.2.1 さらに、2019年にRoutledgeから出版された”Modernity and Spirit Worship in India: An Anthropology of the Umwelt”が、京都大学の「2020年度人社系海外出版書籍のオープンアクセス化事業(洋書)」に採択され、Creative Commons ライセンスを得てオープンアクセス化された。以上のように、現地調査を実施することはできなかったものの、これまでの調査研究の内容をまとめ、成果を発表したという点において研究の進展があったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、論文執筆や研究発表という点においては順調に進展している。なかでも、これまでの研究成果を論文にまとめて公刊するとともに、その内容をさらに発展させた内容の英語論文の執筆を進めていることは、大きな進展であるといえる。ただ、2020年度はCOVID-19の影響のためにインドに渡航することができず、現地調査が進展していない。インドの状況を見据えつつ、文献調査と論文執筆を進めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年の春と夏に予定していたカルナータカ州での現地調査は、COVID-19によってインドに渡航することができず、実施することができなかった。この課題に関する調査研究は途上であるが、2021年度もインドに渡航しての現地調査ができるかどうかは現時点で不明である。文献研究を中心に日本での調査と論文執筆を進めつつ、現地の調査協力者と連絡を取り、今後の調査の可能性を探っていきたい。
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Causes of Carryover |
2020年度はCOVID-19のため、インドに渡航しての現地調査を行うことができなかった。本年度は主に文献研究と論文執筆に専念せざるをえなかったため、調査のための旅費を使用できず、次年度使用額が生じた。感染症の状況を見据えつつであるが、次年度はインドに渡航して現地調査を行い、旅費ならびに現地でのインフォーマント、調査協力者への謝金として、予算を使用する予定である。
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