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2019 Fiscal Year Research-status Report

在地社会の宗教思想と記念行為についての歴史民俗学的研究

Research Project

Project/Area Number 18K01179
Research InstitutionIkuei Junior College

Principal Investigator

佐藤 喜久一郎  育英短期大学, その他部局等, 講師(移行) (30728358)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords在地縁起 / 地域文化 / 民俗宗教 / 歴史実践 / 神職組織 / 地域的アイデンティティ / 一宮制度
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、歴史実践と地域的アイデンティティの関係に注目して、ローカルな寺社縁起や由来書類の調査を行ってきた。地域の「集団的記憶」を担った宗教者コミュニティの実態を明らかにし、彼らがリードしたローカルな宗教文化について研究を進めている。
本年度行ったのは、上野国一宮を中心とした「上野国」の神職組織についての調査である。しかし、当該地域では明治維新以降世襲制が廃された関係で、調査対象の寺社が目当ての文書を所蔵していないケースが目立ち、史料については、旧神職の子孫に尋ねるなど、時間をかけて個人蔵の文書にあたる必要がある。ただ、報告者は本研究の実施に先駆けていくつかの文書群の所在を明らかにしておいたので、それらについては、支障なく文書調査を実施することができた。また、史料の調査と並行して、いくつかの神社や個人宅でインタビュー形式の聞き取り調査を行い、文字記録を補う当事者の貴重な証言を得た。
本年度の調査成果のうちもっとも注目すべき史料は、上野国一宮大宮司の末裔が代々受け継いできたとされる、一宮小幡氏の貴重な記録類である。これまでの研究は、地域の神社に残存する史料と、一部の関係者が所持する史料をもとに進められてきたが、この「大宮司家文書」(仮称)の発見により、新資料を得て未来の地域史研究が大きく発展することが期待される。また、世襲制廃止以後の、大宮司家と国との紛争、訴訟にかかわる文書も多数発見されたので、近代化のなかでの伝統的な宗教者層の動向についても具体的な史料をもとに研究することが可能となった。
以上の文字史料は所蔵者と複数の研究者の立ち合いのもとすべて写真撮影し、整理分類してデジタル形式で保存・記録を行った。今後の公開方法、データの保存方法については所蔵者や関係者と協議中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度の調査を通じて、上野国一宮の記録類など、地域の集合的記憶にかかわる重要な史料群を発見し、並行して行ったインタビュー調査でも貴重な証言を得ることができた。こうした史料の充実により、今後の研究の進展が期待できる。
このうち文字史料については、既調査分の写真撮影を終え、デジタルデータ化する作業を終えたので、半永久的に保存可能となった。その公開方法や保存方法については、今後関係者と協議して決めたい。
ただ、個人の所有物である一部の文書群については、所蔵者側の事情(所蔵者の高齢化や病気など)などにより、当初予定していた調査を次年度に延期したものもある。それらについては速やかな調査実施を検討しているが、コロナウィルスの流行のため、先行き不透明な状況が続いている。そのため「やや遅れている」とした。

Strategy for Future Research Activity

来年度は既調査分の史料データの整理分類と解読の作業を進め、調査報告書や論文によって研究成果を明らかにする。特に、新発見の中世文書や寺社縁起のなかには史料的価値が高いものが複数存在するので、それらについては速やかに翻刻の作業を行い、史料集のような形で公刊することを希望している。
いっぽう、所在を確認したにもかかわらず、未だ分類、整理、撮影できていない文書群については、速やかに調査を実施したいと考えているが、コロナウィルスの流行のため、当初予定していた計画を実施できない状況が予測される。2月、3月に予定されていた比較的規模の大きい調査(史料点数が多く、調査参加者が多い)も来年度に延期したが、研究者の移動が制限されている状況では再開の目処が立たない。
そのため、来年度は既調査分の史料の解読と翻刻の作業を進めながら、ウィルス蔓延の終息時期を窺って調査再開の時期を模索することになりそうである。

Causes of Carryover

当初予定されていた調査計画のうち、費用がかかり、調査点数が多い物について実施を延期している。個人像の文書を調査する場合は、所蔵者の健康状況や、複数いる調査協力者のスケジュールなどを調整して実施する必要があるが、本年度2月末~3月にかけて実施する予定であった比較的規模の大きな調査が、コロナウィルス流行のため一時中止となっている。調査再開はウィルス流行の状況により判断する。
そのため、調査協力者の交通費や、作業にあたる人々の謝金などが支出されず残っている。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 『甲賀三郎・根の国の物語』をめぐって ー児童文学における「神話的方法」についてー2020

    • Author(s)
      佐藤喜久一郎
    • Journal Title

      育英短期大学研究紀要

      Volume: 37 Pages: 19~30

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 「民俗的歴史」の生き延び方―多胡碑隠匿事件の背景―2019

    • Author(s)
      佐藤喜久一郎
    • Organizer
      日本民俗学会

URL: 

Published: 2021-01-27  

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