2022 Fiscal Year Research-status Report
米国での認知症高齢者を師とする人生語り・記録の多世代協働とコミュニティ教育の展開
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18K01180
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
鈴木 七美 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 教授 (80298744)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エイジング(エイジ)フレンドリー・コミュニティ / 超高齢社会 / ライフロングラーニング / コミュニティ教育 / エイジング・イン・プレイス / 米国 / 多世代協働 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超高齢社会において、多文化・多世代の交流に開かれた場で、人びとがどのような経験を紡ぎ意義を見いだしているのか、またそうした場はいかにして実現できるのかに関する情報を、現地調査にもとづき提示することを目的としている。今年度は、会話や超自然との交信を含め、人びとが交流する時空間の変動とエイジング・イン・プレイスについて、歴史的資料及びフィールドワークで得た知見の分析を進めた。 第一は、植民地時代の米国に特徴的な社会的出産に関するものである。この集まりは、助産や治療の専門職化が進む以前の米国で、出産から看護、介護、看取りなどを担った主として女性たちが、ともに苦難を経験し、祝いや慰めを行い、情報を共有する機会でもあった。こうした日常会話をベースとする人生の危機における協働の時空間のありかたとその変容・喪失について分析し、成果を「出産の歴史人類学からみえてきた『母性のちから』――ケアと協働から考える」 というタイトルで発表した(招待講演 日本周産期メンタルヘルス学会)。 第二に、高齢者のケアや教育に関し、コミュニティがかかわる実践を重視してきたキリスト教再洗礼派の人びとの暮らしについて、現地調査内容および歴史的変動についての資料を精査し、成果として『アーミッシュキルトを訪ねて――照らし出される日々の居場所へ』を執筆した。再洗礼派のコミュニティ教育は、社会変化のなかで生活様式について考えるすべての人にとって不可欠のライフロングラーニングとして捉えられ、日常生活の集まりの会話をベースとして実践し続けられてきたことが明確となった。 第三に、現代の超高齢社会において、高齢者の生活環境において何が孤立感を緩和し、エイジング・イン・プレイスに資するのかを、現地調査に基づき検討し、論文執筆の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染拡大という状況下、これまで蓄積してきた現地調査資料についてさらに内容を深める目的で、歴史的変動に関する第一次資料および第二次資料の探索を行い、多くの新たな資料を発掘し収集した。これらの分析と考察を充実させ論考を提示するために、より多くの時間を要すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
米国のコミュニティ教育に関して、参加型の実践的研究により収集した資料に加え、歴史的変動に関する第一次資料および第二次資料の分析を進め考察を深める。認知症高齢者を含む高齢者や子どもたちなどすべての人が必要不可欠なメンバーとして参加するコミュニティ教育にかかわる価値観と実践のありかたについて、論考をまとめ発信する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大状況下ではあったが、電子ジャーナルを含む文献等からの情報収集を充実させた。論考執筆に向けて原稿の英文校閲を進め、新たに知見が得られた領域に関しては、さらに研究を深化させるために、人びとの価値観にかかわる一次資料の収集を精力的に行った。このように蓄積した資料にもとづき、2023年度においても分析を深め成果発信を行う。
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Research Products
(2 results)