2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Applied Anthropological Study on the Ethnographic Filmmaking on Intangible Cultures in Africa
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18K01181
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
川瀬 慈 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 准教授 (30633854)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 映像人類学 / アフリカ / 民族誌映画 / 無形文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年6月に、単著『ストリートの精霊たち』(世界思想社、2018年)の英訳版『Mischief of the Gods: Tales from the Ethiopian Streets』をニューヨーク・東京の出版社AWAIBOOKSより刊行した。2024年1月にロンドンの英国王立人類学協会において本著の刊行にともなう講演会を行った。その際、アフリカの無形文化を対象に報告者が制作してきた民族誌映画を部分的に上映し、映画的な話法の変化が、テクストの表現にも影響を与えてきたことを報告した。7月から8月にかけて、エチオピア現地で撮影を行い、それらのフッテージを活用し、長編の民族誌映画『アズマリー声の饗宴-』(英語版:Azmari - The Fest of Voices-)を完成させた。本作は、制作者(川瀬)と、エチオピアの楽師アズマリのソロモン・アイヤノー氏が、芸能の継承や芸の真正性をめぐる問題を議論しつつ展開する作品である。本作を、1月から2月にかけてロンドン大学ゴールドスミス校、さらにはマンチェスター大学において発表し、英国を拠点に活動する人類学者たちと制作方法論に関する公開討論を重ねた。 研究期間中、研究課題に関連する単著2冊、及び編著3冊の出版、さらには3本の民族誌映画を制作・発表することができた。制作した民族誌映画においては、当初の目的に掲げていた、無形文化を担う現地の人々との密な議論、を作品のなかに取り入れることができたと考える。今後は、これらの経験を省察的に分析する論稿を学術雑誌へ投稿する準備を進めていきたい。
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