2020 Fiscal Year Research-status Report
An Anthropological Study of the Genesis of 'Negative Heritage' in the Post-Conflict Era of Minamata City
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18K01182
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
平井 京之介 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 教授 (80290922)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 水俣病 / 博物館 / 負の遺産 / 記憶 / 水俣 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、水俣病被害者関連団体と水俣市、熊本県による水俣病を伝える活動について、特に被害者団体と行政が協働でおこなう実践とその歴史に焦点を当て、約3ヵ月間の現地調査を実施する予定であった。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していた現地調査の実施がまったくできなかった。そこで、これまでに収集した水俣病運動の歴史、および水俣病センター相思社の活動についての聞き取りデータおよび文献資料を分析し、1968年の水俣病被害者支援運動から水俣病センター相思社の設立までの経緯、水俣病センター相思社が1980年代後半に水俣病歴史考証館という展示施設を設立することになった背景、さらに水俣病センター相思社が裁判闘争や直接行動から水俣病の歴史を伝える「考証館運動」へと運動方針を転換した理由について考察した。その際、フランスの社会学者ピエール・ブルデューのハビトゥスと界という概念を分析の道具として参考にした。その結果の一部は、「考証館運動の生成──水俣病運動界の変容と相思社」として『国立民族学博物館研究報告』45巻4号に発表した。また、国立民族学博物館共同研究会「博物館における持続可能な資料管理および環境整備──保存科学の視点から」において、「手作り資料館の持続不可能な資料管理──水俣病歴史考証館の事例から」というタイトルで報告した。これらの研究により、水俣病センター相思社は告発型の運動で蓄積してきた経済的、文化的、象徴的、社会的資源を活用してミュージアム活動をおこなっており、考証館運動は社会運動におけるひとつの闘争戦術であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で書いたように、令和2年度は、本研究計画で最大の3ヵ月間を予定していた現地調査がまったく実施できなかった。ただし、メールや電話、オンライン会議システム等を通じて、水俣における水俣病を伝える活動に関する動向については情報を得ており、また各種団体のインフォーマントと良好な関係を維持しているため、令和3年度にその分も含めて長期の現地調査を実施し、データ収集に関して遅れている分については取り戻すことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、昨年度に予定していてできなかった、水俣病被害者関連団体と水俣市、熊本県による水俣病を伝える活動についての3ヵ月にわたる現地調査、およびもともと令和3年度に予定していた負の遺産の活用による社会への影響に関する1ヵ月の現地調査をどちらも実施する予定である。。また、相思社資料室、水俣市立水俣病資料館、国立水俣病総合研究センター、熊本学園大学水俣現地研究センター、熊本大学付属図書館などで資料調査を実施し、これまでに蓄積された歴史的データを補足する。さらに、これまでに発表した原稿を元に改良し、新しいデータを付加して、最終的に刊行物としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、予定していた現地調査をおこなうことがまったくできなかった。そのため、次年度にその現地調査を延期して実施する予定である。
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Research Products
(2 results)