2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on care environment and mobility of aged marrige migrant women
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18K01185
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 善姫 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教 (30546627)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 結婚移住女性 / 高齢化 / ケア / 医療人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、医療人類学的視点から移住女性の身体的・精神的問題と日本の医療現場の経験のズレ、家族や地域社会のケアの実態を明確にし、加齢・高齢化の中の移住女性のケアシステムの在り方を提言することを目的とする。ここで想定するケアとは、高齢化に伴う病気や認知症といった身体面でのケアだけでなく、うつ病や更年期障害のような精神面でのケア、経済的自立に関わる社会的ケアも含める。 今年度の研究実績として、東北に結婚移民で定住している外国人女性5人の追跡調査を行っており、彼女らが抱える身体的・精神的病気の問題とその治療のための行為を記録する事ができた。年齢的には60代が3人と40代が2人となっている。それぞれ、家族構成に違いがあり、それによって家族内でのケア環境は異なっているが、日本の生活の中で限定されている社会的資本の現状と限られた情報に苦悩しており、それを打破するために出身国のネットワークを利用している事、乃至それを望んでいることは共通する点と言える。また、病気にために本国に戻った移住女性に関しても追跡の調査を継続している。 夏には日本の結婚移住女性の状況と比較するために、韓国でいくつかの移住女性団体の聞き取り調査なども行ない、韓国の移住女性に対する医療の取組に関する資料も多少集めることができた。国際比較としては、台湾の取り組みについても情報を収集するつもりであったが、新型コロナの影響で進展できない状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は、学期中は非常勤授業の職務を果たすため、調査研究を遂行することができず、フィールド調査は夏と冬の夏休みを利用して行う予定であった。ところが、夏休みの調査中に身内の不幸があり、予定していた日程をキャンセルすることになった。また、冬休みは新型コロナの影響により、国内外での対面式調査ができなくなった。すべての調査予定と出張が延期乃至キャンセルになることで研究に大きな支障が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究者はこれまで、インフォーマントとの対面調査を通して信頼を構築し、そのライフストーリーを収集、そのデータを通してオリジナリティーのある研究を行なってきた。本研究においては、まだ事例としての充分な事例数は確保されておらず、今後も調査対象者を増やす必要がある。しかしながら、COVID19の拡散が収束されるまでは、当分の間対面調査は厳しい状況となっている。しばらくは、文献研究や電話、ネットなどを利用した調査の継続を模索することとする。
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Causes of Carryover |
昨年度非常勤講師として生計を営んでいたため、学期中は近距離のインフォーマントだけを対象に聞き取り調査活動が可能であった。まとまった時間を要する他地域(国外も含み)での調査は、夏休みと冬休みに行う予定であったが、夏休み中は義理の父の訃報によって、予定に支障が生じ、冬休みはCOVID19の影響によって調査予定をキャンセルせざるを得なかった。そのため、旅費の多くを支出できなくなり、次年度に繰り越す結果となった。
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