2019 Fiscal Year Research-status Report
日本近世・近代移行期における漁民の経験知と漁村秩序の動態に関する研究
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18K01188
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中村 只吾 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (40636370)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 近世・近代移行期 / 漁村史 / 漁民 / 漁業 / 経験知 / 生業 / 生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となる今年度は、下記の活動を実施した。 史資料収集のための活動として、2019年4月13日、国立国会図書館にて沼津市内浦地域に関する史料の調査・収集を行った。同年4月20日には、かつて網元も務めた沼津市内浦小海の日吉家において、家や地域の歴史に関する聞き取り調査を行った。 同年8月30日~9月1日には、酒田市飛島にて、飛島周辺の海上調査、飛島島内での聞き取り調査を行った。2020年3月17日には、氷見市立博物館にて、越中灘浦関係史料の閲覧・撮影を行った。 また、史料整理作業として、沼津市内浦小海・日吉家の所蔵文書(既収集)について、昨年度に引き続いて一橋大学大学院博士後期課程の藤原正克氏に依頼し、2019年4~9月、目録作成作業を実施した。 研究成果の公開に関わる活動として、2019年8月4日、すみだ郷土文化資料館にて、東海地方の歴史をテーマとした論文集作成に関する打ち合わせの中で、沼津市内浦地域を対象とした論文の内容に関する報告を行った。同年10月24日、The Fifth Biennial Conference of East Asian Environmental History (EAEH 2019、台湾・国立成功大学)のParallel Sessionにおいて、The movement of local fishery order influenced by natural and social environment from early modern to modern Japan と題する研究発表を行った。同年12月21日には、加賀藩研究ネットワーク12月例会にて、「近世・近代移行期の越中漁村に関する一考察―漁業秩序の動態をめぐって」と題する報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
沼津市内浦地域、酒田市飛島、富山湾周辺のそれぞれから、今後の研究展開の手がかりとなる古文書や聞き取りの調査・収集・整理を実施できた。また、酒田市飛島を対象に、海上調査も実施することができた。 伊豆国内浦地域および富山湾周辺漁村については、学会等での研究発表を通して、研究成果の公開やそのための準備を実施できたとともに、現時点での考えを一定程度整理することにもつながった。 昨年度からの継続である、内浦小海日吉家文書の目録作成作業については、一定程度、作業完了の目途をつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、沼津市内浦地域、酒田市飛島、富山湾周辺に関して、昨年度までに収集した史料の分析作業を進め、論文発表や学会報告へとつなげていく。また、それらの地域に関する調査・史料収集作業も継続する。ただし、新型コロナウイルスの影響により、当面は現地での調査・資料収集作業において実施困難な部分も大きいと考えられる。状況をみながら、可能な範囲で実施していく。 内浦小海日吉家文書の目録作成作業については、作業の完了を目指す。
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Causes of Carryover |
計画時の見込みよりも、海上調査のガイド、船舶のチャーター・燃料代を抑えられたことによる部分が大きいと思われる。 当該年度は見込みよりも金額を抑えられたとはいえ、今後、同じ地域のみならず、他地域も含めて海上調査を展開していくための経費として想定しておきたい。
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