2020 Fiscal Year Research-status Report
Descriptive Research of Oral Tradition and Mouth-music in Burmese Classical Songs
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18K01191
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 さゆり 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (40447503)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビルマ / ミャンマー / 古典歌謡 / 口頭伝承 / 口唱歌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ビルマ古典歌謡の伝承手段である口唱歌を記述・分析し、口唱歌の体系を明らかにすることである。口唱歌とは楽器音を声で言葉で伝えるもので、世界各地の音楽伝承で見られる伝承手段である。 コロナ禍のため、口頭発表を予定していた2020年7月開催予定のInternational Council for Traditional Music, Study Group on Performing Arts of Southeast Asia(発表題目“Transmission and Memorization of Myanmar Classical Songs: with special reference to akwek or the smallest units of music”)が2021年3月7月に、更に2021年7月に延期された。また、コロナ禍のため予定していた8-9月4週間のミャンマー調査が実施できなかった。本年度の研究実績は以下の通りである。 (1)上記の国際学会発表のための研究。具体的には、口唱歌の記述分析を進め、アクウェッとの関連の記述を進めた。 (2)2020年3月13日に開催された国際ワークショップ、Myanmar studies without Burmese? by The School of Culture, History and Language(於、キャンベラ、オーストラリア国立大学)(発表題目“Some features of the formation of genre in Burmese Classical Songs: Using Burmese as an indispensable language”)の論考の執筆を進めた。2021年度『上智アジア学』に発表予定。 (3)著書『ビルマ古典歌謡の伝承』(仮題、スタイルノート社)の執筆。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のため、口頭発表を予定していた国際学会(アクセプト済み)が延期され、また8-9月に予定していたミャンマーでの調査研究も実施できなかった。その代わりに、口頭発表原稿の執筆に加え、著書『ビルマ古典歌謡の伝承』の執筆の打ち合わせを出版社(スタイルノート社)と進め、執筆を開始した。また、ミャンマー調査ができなかったため、マンダレーの竪琴の師匠ドー・キンメイと電話でのやり取りを続け、口唱歌の分析を進めた。ミャンマー調査を行い新たなデータを収集することはかなわなかったが、これまでに入手してある口唱歌の莫大なデータの整理と分析を進め、口唱歌の体系についても記述を進めることができた。コロナ禍による研究計画の変更はあったものの、研究自体はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度開催予定の国際学会International Council for Traditional Music, Study Group on Performing Arts of Southeast Asiaが2度の延期を経て2021年7月に台湾で開催されることが決まった。そこで発表予定の“Transmission and Memorization of Myanmar Classical Songs: with special reference to akwek or the smallest units of music”の準備を進める。 コロナ禍に加えミャンマーの政情不安のため、ミャンマー調査が実施できるか見通しを立てることが難しいが、可能であれば8-9月に渡航し調査を実施する。渡航ができない場合は、ミャンマーの竪琴の師匠ドー・ドー・キンメイに電話などで口唱歌の記述の細部を確認し、本研究を完成させる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた国際学会発表(ミャンマー、バガン)が2021年度に延期されたこと、8-9月に予定していたミャンマー調査のための渡航ができなかったこと、国内で参加予定だったビルマ語史料研究会も中止されたことにより、旅費の出費が生じなかったため、次年度使用額が生じた。上記の国際学会は次年度に台湾で開催されることになったため、これに使用する予定である。また、ミャンマー調査が可能となれば、その旅費に充当する予定である。
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