2019 Fiscal Year Research-status Report
The study of social relationship and intimacy that created by Square Dance in China: Anthropological perspective for <Person> image of contemporary China.
Project/Area Number |
18K01201
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田村 和彦 福岡大学, 人文学部, 教授 (60412566)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 中国研究 / 民俗学 |
Outline of Annual Research Achievements |
「中国の広場ダンスが創出する社会関係と親密性、「人」のイメージに関する人類学的研究」2年目の本年は、実地調査と現地での資料収集を中心におこなった。実際のフィールドワークは、陝西省中部の諸公園におけるインタビューと複数グループへの参与、あわせてこれらのグループのSNSグループへの参与をおこなった。 昨年度の予備的調査の段階で調査許可を得た集団に加え、知人を介して新たに許可を得た集団が複数あったことから、現地調査での時間配分を調整し、現地での時間を可能な限り、これらのダンス集団とともにいることに割いた。 その結果、どのように初心者が特定の広場舞という外縁の不明瞭な集団へ参与可能となるのか、この緩やかな関係性の束ともいえる集団がどのように可視的に、あるいは(並行して運用されているSNSのグループのように)不可視のグループが維持されるのか、およびその下位集団、あるいは派生した集団との関係について、大幅に研究が進展した。 実際のダンスへの参与はフィールドへの渡航時に限定されたが、SNSグループへの正規のメンバーとしての参与は、ある種の(実際に現地で身体を用いる参与とは異なる次元の)フィールドを延長する状況を生み出すことができた。 しかし、同時に、このSNSを介した距離にとらわれないグループへの参加の欠点として、「見たい」もののみが対象化され、現地での身体を投じたフィールドワークのような、持ち込んだ枠組みからの「余剰」については焦点化されにくい状況があり、来年度の研究ではこの点に注意した考察を進める必要に気が付いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初予定した、もっとも集中的にフィールドワークを進めることができた点で、順調に進行していると評価できる。 一方で、SNSグループに参加することによる、実際のフィールドワークの延長としての計画当初の仮説については、フィールドワークの深化により、経験的に再考せざるを得なくなった。この点については、予想以上の興味深い問題を提示することになったが、方法論的なレベルでは、翌年の考察に回すこととする。当初の仮説の一部変更というこの点よって、予想以上の進展とは言えない、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度については、新型肺炎の影響により、現時点では本務校の夏季休業期間を中心とする時期に計画通りの集中的なフィールドワークをおこなうことについて、予見が立たない。そのため、状況の推移を見守りつつ、可能であれば、秋季あるいは冬季に時期を変更する可能性がある。万が一、渡航そのものが困難になった場合には、本研究のもう一つの柱である、ダンス集団のSNSグループの「関係」性のあり方へと、軸足を移すことも検討している。
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