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2021 Fiscal Year Research-status Report

The development of women's religious authority in the Niassene Tijaniyya, Senegal

Research Project

Project/Area Number 18K01204
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

盛 恵子  京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 特任研究員 (30566998)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2023-03-31
Keywordsイスラーム / スーフィー教団 / セネガル / ニアセン / 女性の宗教的権威 / ガーナ / サラフィズム / スーフィズムとサラフィズムの対立
Outline of Annual Research Achievements

セネガルでの調査を行うことができなかったので、2015年にガーナで行ったニアセン教団に関する調査の成果を、報告書にまとめる作業を行った。この作業の意義は、「今後の研究の推進方策」の項で述べる。
ガーナはナイジェリアと並び、ニアセン教団が最も早く浸透した国であり、ニアセン信徒はムスリム人口の中の約7割である。ニアセンの創始者イブラヒマ・ニアス(1900-1975)は1952年にガーナを最初に訪問したが、彼は数回にわたるガーナ訪問に娘であるマリアム・ニアスを伴い、彼女はガーナの女性へのニアセンの普及に貢献した。現代アフリカのイスラームにおける最大の問題であるところの、スーフィー教団とサラフィストとの対立は、ガーナにおいて典型的な形で見出される。ガーナにおいてニアセンはサラフィストの批判を受け、1970年代以降、両者の間に暴力を伴う紛争が幾度か生じた。この対立の教義上の側面はここでは述べないが、この対立の具体的・日常的な焦点は、前者の学者が行う御符の作成と祈願の祈りを、後者が批判することにある。現在両者は、互いの信ずるところの相違は『コーラン』の解釈を巡るものであり、ムスリムとしての信仰の根本は同じであると認め、宥和的ではない共存の関係を成立させた。イスラームの異端であるアフマディー教団がガーナで行った、異なる宗教間、同一の宗教内の宗派間の平和的共存の呼びかけが、両者の関係の改善に結びついた。
ガーナのサラフィズムの祖であるアファ・アジュラ(1910-2005)は、ニアスの弟子であるマイカノ・ジャロ(1926-2005)との論争の過程で、自分と自分の支持者集団のアラビア語能力の乏しさを自覚するに至り、サウジ・アラビアと関係を結んで自分の学校に近代的なアラビア語教育を導入した。後の世代のサラフィストは、彼をロール・モデルとして尊敬する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

新型コロナウイルスの感染が終息しないので、セネガルでの現地調査を行うことができず、研究計画は2年の遅滞を余儀なくされた。
しかし私はこの期間を利用して、現在までの研究の蓄積をまとめ、研究再開の際に利用することのできる情報を集めている。その内容の詳細は「研究実績の概要」の項ですでに述べた。この作業の意義は、「今後の研究の推進方策」の項で述べる。

Strategy for Future Research Activity

今年度セネガルへの渡航が可能になったら、計画の通りに調査を行う。渡航が可能になるまでは、現地調査に行くための準備として、以下に述べるように、過去に行った調査の資料をまとめる作業を継続する。
私は本課題に先立って、2010年以来、科学研究費助成事業―(平成22 年度~平成24 年度) 科学研究費助成事業(挑戦的萌芽研究 研究番号22652078) 研究課題「セネガルのイスラーム神秘主義教団ニアセンの研究」(研究代表者: 盛 恵子、研究協力者:盛 弘仁)と、(平成24 年度~平成27 年度) 科学研究費助成事業(基盤研究B 海外調査 研究番号 24401037) 研究課題「セネガル、ニアセン教団における境界の超越とアフリカ諸国への拡大の比較研究」(研究代表者: 盛 恵子、研究協力者:盛 弘仁)―によって、ニアセン教団の研究を継続してきた蓄積がある。私はこれまでにニアセンの本拠地であるセネガルだけでなく、モーリタニア、ガーナ、カメルーンのニアセンの状況も調査した。そこでこれらの研究のために行った現地調査から得た資料を、本課題のために、新型コロナウイルス発生以前に行った2回の現地調査の資料と合わせて、いままでの研究成果をまとめた5冊からなる報告書を計画した。2019年には『ニアセンの拡大(2) カメルーンにおけるニアセン―バムン王国の事例―』を、2021年には『ニアセンの拡大(1)その1 モーリタニアにおけるニアセン―トラルザ州の事例―』を完成させ、国立国会図書館および関係機関に配布した。現在は、ガーナについて書いている。
今までの成果を通覧し、各国の状況をまとめることによって、各国における女性の役割の大きさの違いがわかり、ニアセン教団における女性の宗教的権威という本課題の視野を、より広くすることができる。そしてこれは、本課題の今後の推進に大きく役立つ。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの感染拡大により、予定していたセネガルでの現調査を行うことがぎきなかったため。セネガルへの渡航が可能になり次第現調査を行い、研究計画申請時に提出した計画の内訳通りに、助成金を使用する予定である。

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Published: 2022-12-28  

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