2019 Fiscal Year Research-status Report
The Normative Foundations of the External Legitimacy of Liberal States
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18K01207
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
郭 舜 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (30431802)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国家の対外的正統性 / グローバルな集合的目標 / グローバルな法の支配 / 国家の自律性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度に行った基礎的作業(政府の国内的正統性をめぐる議論およびグローバルな法秩序の正統性に関する従来の議論の検討)に引き続き、グローバルな集合的目標の追求との関係において国家の対外的正統性をどのように位置付けるかという問題に取り組んだ。一方で、国家の対外的正統性はグローバルな集合的目標の追求への参与によって根拠づけられる。グローバルな集合的決定が必要とされる状況において、それを理由なく単に拒絶し、他者にコストを課すことは許容されない。拒絶が正当化されるためにはグローバルな集合的決定を基礎付ける公共的理由に優越する根拠が示されなければならない。他方で、グローバルな目標追求のための枠組みが正統であるためには、国家の自律性を正統なものとして承認しなければならない。これはグローバルな法の支配の観点から説明される。法は法主体を自律的な主体として取扱うかぎりにおいて正統なものと見なされ、服従に根拠が与えられる。国際法についてもこのような法の支配の理念から導かれる要求は同様に適用されると考えられるのであり、グローバルな目標追求が国際法を通じて行われるためには、国家の自律性が尊重されなければならない。つまり、グローバルな法秩序の正統性と国家の正統性とは相互に根拠を与え合う関係にある。このような知見の一部について「グローバルな経済秩序における自由」(『法律時報』91巻10(通算1142)号、2019年)において示した。これと併せて、IVR世界大会、英エディンバラ大学におけるワークショップ、インドネシア国立大学におけるシンポジウムなどに参加し、関連する報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究計画の初年度に行った先行業績の整理から視野を広げて、法の支配という従来とは異なる視角から問題を捉える手がかりを得ることができた。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
グローバルなレヴェルにおける法の支配の理念を、国家レヴェルと個人レヴェル、また国家間レヴェルと国内レヴェルという二つの区別の軸によって整理する方向で研究を進める。この課題に取り組むため、引き続き関連する文献の調査・検討を進め、関連分野の研究者との意見交換を通じて考察を深める。
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Causes of Carryover |
2019年2~3月にパドヴァ大学で研究滞在を予定し、費用の一部を支出することを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の同国内での蔓延に伴い、この予定を取り消したため。翌年度の研究のオンライン化対応のための支出に充てる。
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