2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01208
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 哲志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (50401013)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 財団 / 財産体 / 清算 / 人格 / 比較法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も困難を抱えた。第一に、年度初めの所属機関変更に伴う研究室移転の後、環境の再構築に予期していた以上に時間を要した。第二に、想定していたフランス出張は、感染症の状況により複数回の先送りを経て2022年3月に実施する予定であったが、今度は国際情勢により予約便キャンセルの憂き目に遭い、結局叶わなかった。このことは昨年度報告でも示唆した重要な史料へのアクセスが得られなかったことを意味する。幸いにも再延長の許可を得たところであり、遅くとも秋口には出張を実現し、欠落を埋めるものとする。 本年度の成果としては、いずれも間接的ながら2点を挙げることができる。第一に、同世代の研究者と組織してきた「フランス家族財産法研究会」での検討を基にした『フランス夫婦財産法』がある。財団それ自体を扱ったわけではないが、同書の主たる対象である共通財産(communaute)は、財団と比較しうる財産体(patrimoine)である。同書では共通財産の清算・分割の局面を中心として執筆を担当した。一定の目的の下に成立するpatrimoineの終了に関する一般論を提示し、その観点から共通財産の特殊性を論じている。こうした分析視角は、当然ながら財団にも応用可能である。第二に、法学の入門書において比較法史に関する章を執筆した。時間軸の長い難しい仕事であったが、本研究の視角のひとつである人・人格(personne)論を反映させることで、叙述の軸を作ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記のとおり、本課題に関連する成果を公表することはできたが、史料へのアクセスは依然として叶わず、取りまとめに至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
再延長期間中に海外出張を計画し、欠けている史料を補充する。残額は大きくはないが、航空券代については学会報告のための他機関予算に拠ることができる。
|
Causes of Carryover |
フランス出張を予定していたが叶わなかった。予算の一部は文献購入等に使用した。次年度に他機関負担出張が予定されているところ、残額を活用してこの滞在を延長し、本研究にとって極めて重要な史料の閲覧調査を行う(キュジャス図書館またはフランス国立図書館)。
|