2019 Fiscal Year Research-status Report
The Possibility of the Community-promoting Environmental Approach to Crime Prevention
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18K01213
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 陽 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80551481)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境犯罪学 / AI / ガバナンス / ナッジ / 情報環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
AI技術の発達は目覚ましいものがあり、SFの世界のなかで想像されていたにすぎなかった技術が現実化しつつある。AI技術の発展は本課題(「犯罪予防の環境的アプローチの意義とその多様性」)の研究にとっても大きな意義を有する。2019年度も、その方向性でさらに発展させることになった。方向性としては、「AIガバナンスの法哲学」(法律時報2019年4月号)で示したガバナンスの発想を推し進めるということである。 毎月名古屋大学で開催されていたCASE研究会に継続的に出席し、自動走行運転車をめぐる動向を学習した。また、同じ研究関心を抱くイタリアのカリアリ大学ジュセッペ・ロリーニ教授とメールのやり取りをし、彼の最新論文を送付していただき、こちらは日本の「SOCIETY 5.0」の話などをして、意見交換を行っている。 2019年9月には、早稲田大学で開催された日本ロボット学会において「人工システムと法」というテーマで講演し、また、その後のシンポジウムに参加し、ロボット学者と知見を交換した。2019年12月には、関西大学にて、「二人の「リベラルな共和主義者」をめぐる覚書:政治の再活性化と脱政治化のテクノロジー」という報告を行い、「脱政治化のテクノロジー」たる「ナッジ」を推奨するキャス・サンスティーンの見解を分析した。環境的アプローチはテクノロジーによる統治といいかえることができるが、サンスティーンの見解を分析し評価するということは、まさにそのような統治の意義を確認する作業でもある。2020年1月には、商事法務において「情報化社会における自己決定論の在り方」と題した報告を行った。そこで、自己決定論との関係で情報環境が有する意義を検討した。 2019年度に情報技術と法関連の論文をいくつか執筆したが、その公刊は2020年度になる(現時点で一つ公刊されている)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究論文1本、研究報告3本、エッセイ1本と概ね順調である。また、2019年度に執筆した2本の原稿が2020年度に公刊予定である(一つは2020年5月に公刊された。もう一つは校正中である)。研究業績としては、概ね順調に進んでいる。 また、AIや情報技術に係る法の研究会に複数所属し、また、学際的な研究会・学会に参加することを通じて、ロボット研究者をはじめとして理学・工学系の研究者との交流が進むなど、本件課題を遂行していくうえで重要な刺激となる人的な交流も進めることができた。また、その人的な交流のおかげで、所属関の大学でも、車両実験に関わる委員会において委員を務め、科学技術がもたらす問題のリスク・アセスメントに携わることになり、自らの研究の実際的意義を反省するよい機会を頂いている。 当初の予定では、イタリアのジュゼッペ・ロリーニ先生と実際に会って、彼との意見交換をする予定であったが、しかし、イタリアを訪問することはできず、代わりにメールで意見交換をしている。また、2020年3月にフランスのマルセイユで、インドや香港などの他分野の研究者とAI技術をめぐる研究会をする予定であったが、開催されないことになり、結局、メールで意見交換をするにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の計画は、過去2年度の実績を犯罪予防の議論とどのようにつなげていくのかが課題となる。今年の秋ごろにAIガバナンスの論文は刊行される予定であるが、その業績とどのように犯罪予防の議論とつなげていくのかである。 理論的には、ガバナンスの議論を詰めて考えていたのだが、加えて、ガバナンスとの関係で規制作用の点をもう少し詰めて考察していく予定である。AIなどのアルゴリズムの規制作用の理論的分析を行っているKaren Yeung教授の業績、また、彼女らが編集した『Algorithmic Regulation』の業績を丁寧に分析し、また、ローテク中心に研究しているイタリアのロリーニ教授との接合をどのように図っていくのかが課題となる。そのうえで、犯罪予防という具体的な課題とどのように接合していくのかが重要となる。その前提として、自己決定における情報環境がもたらす影響を考察した論文やAI技術の発達した状況での働くことの意義を考察する論文を執筆する予定である。 新型コロナの関係で研究会はウェブに移行している。その関係で出張費が昨年度に比べて抑制されると予想できる。しかし、「AI技術と法」の研究会の多くは、ウェブで開催される予定であるので、そうしたことに参加していく。また、海外出張もそもそも今年度中に可能となるのかもわからない。海外の研究者とは、ZOOMやEメールで意見交換を継続していきたい。仮に状況が改善すれば、冬の時に海外研究者との交流を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
もともと2月3月に複数の出張が入っていたが、新型コロナの関係で多くの研究会が中止になってしまった。そこで、3月に書籍などの購入を行っていたが、3352円が余ることになってしまった。
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Research Products
(5 results)