2020 Fiscal Year Research-status Report
熟議民主主義において公正な結論を導く〈法的思考〉形成の研究
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18K01222
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
菅原 寧格 北海学園大学, 法学部, 教授 (20431299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 熟議民主主義 / 法的思考 / 法の妥当根拠 / コミュニケーション / 権利 / 法思想史 |
Outline of Annual Research Achievements |
〈法的思考〉の実践として熟議の基盤を成すものが「コミュニケーション」であるということと、これを伝統的な法哲学的問題である法の妥当根拠論との関係から再考した昨年度の成果とを踏まえた上で、今年度は、熟議民主主義の当事者が討論を行う際の指針となり得るような〈法的思考〉の理論基盤を探ることにした。その具体的な成果としては、①「書評:長友敬一「正義は時代や社会で違うのか」」『図書新聞3464号』p.3、2020年9月を発表したほか、菅原寧格・郭舜編『公正な法をめぐる問い』(信山社、2021)の出版を通じて、二篇の論文②「「公正な法をめぐる問い」を問うということ」と③「現代法哲学における法の妥当根拠論の行方」をまとめ、発表した。また、法理学研究会で開催された中山竜一・浅野有紀・松島裕一・近藤圭介『法思想史』(有斐閣、2019)の合評会の評者として、④「法思想史を学ぶとはどういうことであるかを考えるために――中山竜一・浅野有紀・松島裕一・近藤圭介『法思想史』(有斐閣、2019)を読む」と題した報告を行い、本研究で獲得した法思想史的知見を整えた。 今年度は研究全体の最終年度として、その目標を概ね達成することができたものの、新型コロナウイルスによる世界規模での感染拡大に伴い、成果発表の場として予定していた内外の研究会や学会の多くが中止や延期を余儀なくされた。そのため研究期間を延長し、年度を改めた上でその不足分を補い本研究の意義を示すことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は本研究全体のまとめとして、熟議民主主義において正しい結論を導く〈法的思考〉の理論基盤に関する研究を行った。もっとも世界的パンデミックの影響の下、当初予定していた本研究成果を発表する場面の多くが失われてしまい、この点で、研究期間を延長せざるを得なくなった。だが、その成果は上記①から④で掲げたとおり着実に挙げられている。そのため研究全体としてみた場合には、その目標を概ね達成することができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度として今年度に研究成果の発表を予定していた学会が、次年度の開催に延期され、オンラインでの開催が確定したことから、次年度は研究期間の延長に伴うアディショナルタイムとして位置づけ、これまでの研究成果のブラッシュアップに努めるとともに、本研究テーマに関心を持つ社会一般との間で研究成果の共有を図りつつ、研究の成果を公開し還元していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる感染症が拡大した影響により、当初予定していた研究会への参加や資料収集が必ずしも予定通りに進まず、また、研究成果の発表を行う予定であった学会が中止されたため次年度使用額が生じた。次年度は、オンラインによる研究会や学会の開催が確定していることから、それに向けた研究環境を整える費用にあてるほか、成果の見直しを行うとともに研究の精度を高めるための費用に用いることを計画している。
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Research Products
(2 results)