2023 Fiscal Year Annual Research Report
Rape suits disguised - what were the husbands' true wish ?
Project/Area Number |
18K01225
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
北野 かほる 駒澤大学, 付置研究所, 研究員 (90153105)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 15世紀初期イギリス / rape / 民事侵害 civil trespass / 婚姻継続適性喪失 / 事実上の婚姻解消 |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリス15世紀初期の王座裁判所記録集には、相当多数(延べ数)の"rape" の被害を主張する「民事侵害訴訟 civil trespass」にはつぎの諸特徴があり、その共通点性から、提訴の目的は「妻への性的暴行」に対する損害補填」ではなく、「婚姻(継続)適性の喪失主張」→外観上成立していた婚姻関係の解消・不存在の公知が目的だと推測される。
① 訴状にある被害発生時期から相当期間経過してからの提訴が多い ② 訴状の文言の基本的項目が共通している。すなわち夫であると主張する提訴者の家屋に侵入して妻をrapeし、妻の身柄とともに一定の家財(家庭用布類、ドアノブ、水差しなどおそらく当時の社会通念で“妻の家財”と認識されていたもののみ)を奪取して今日に至るまで手元に留め置いている。それらの返還を求める ③ 被告男性は出廷懈怠を反復するが、他の訴えの類型とは異なり、召喚手続がなかなか次の段階に移行せず、このため法廷による被告男性への圧迫がほとんどない ④ この結果原告は相当長期にわたって訴えを反復することになる ⑤ ③④の結果被告の答弁がないか単純否認のまま審理が進行せず、いつの間にか原告が訴えを繰り返さなくなるかたちで 裁判記録が途絶するケースが圧倒的に多い *ごく少数「後見下にあった未成年男性が身柄奪取されて"rape"されたという訴えがあり、この場合は逸失利益のみが主張されている ⑥ 重罪私訴APPealの"rape"訴訟および刑事陪審起訴indictmentの"rape"訴訟事案と対応するものがない ⑦ 調査の範囲は十分でないが、教会裁判所の婚姻関連記録との対応は確認できなかった
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