2019 Fiscal Year Research-status Report
日本中世における法・裁判・紛争処理に関する再定位:中世法制史研究の基盤形成へ
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18K01229
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河野 恵一 立命館大学, 法学部, 教授 (90380659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 安博 同志社大学, 法学部, 教授 (90274414)
畠山 亮 龍谷大学, 法学部, 教授 (20411283)
山本 弘 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (80363307)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 日本中世法制史 / 日本中世訴訟制度 / 紛争処理 / 裁判規範 / 法学的アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の実施期間全体で計画している活動は以下の通りである。まず基礎的作業として、過去の日本中世法制史に関する文献の調査分析を踏まえ、①主要論点の系譜の整理と検討、および②法現象分析のための諸概念の整理と検討を行う。これらの作業で得た知見を踏まえ、③中世法制史に関する分析概念構築とそれに基づく論点再設定を行い、④この成果を活かした中世法制史の概説を公表することを目指す。 2年目である平成31(令和元)年度は、前年度に引き続き、主に①に関する作業として中世法制史関連の諸研究の整理分析を進めつつ、②や③の作業に着手した。本年度の研究活動は、課題全体での目標や手法の大枠をメンバー間で共有しつつ、基本的に各メンバーの関心に基づいて個別に進めた。当初計画で設定した分担や段階的な進め方にこだわりすぎず、各メンバーで①~③の全体を念頭に置いた研究活動をある程度展開し、その成果に基づいて③の議論を進めることが、中期的には本研究課題のスムーズな遂行に資すると判断した。 具体的な成果として、各メンバー個別の専門に基づく検討に加え、全体として法史学の分析枠組みや叙述方法に関する検討を進めた点を挙げる。歴史上の事象をいかなる枠組みの中でどのように位置づけるかは、中世日本に限らず法史学全般における方法論上の課題であり、それへの理解を深めることは本研究を進める上で重要である。各分担者がこの課題に取り組み、その成果を公表する準備を進めている。また、関連分野の若手研究者との意見交換の場を設ける計画としているが、本年度は1名から意見聴取を実施し、主に本課題で目指す法学的手法の有用性と限界等につき意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記の通り、当初設定した計画の各段階にこだわりすぎず、本研究課題の目的や手法の大枠をメンバー全員で共有しつつ、メンバーそれぞれがその先の分析概念検討や論点再設定を視野に入れて個別に研究を進める方針に転換した。前年度から引き続いて本年度に実施する予定としていた、日本中世法制史上の文献調査と主要論点の整理については、当初の計画に基づけば目標達成は不十分である。計画していた研究会や意見聴取等の会合を予定通り実施できなかったことと併せ、計画全体としては遅れていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の大枠は維持しつつ、3年目、4年目の具体的活動を変更して、本研究課題の目標達成を目指す。 上記方針転換により、3年目以降の実施を計画していた内容を一部先取りしている。また各研究分担者が、それぞれに本研究課題の趣旨を踏まえた主体的、積極的な研究活動を進めており、成果を上げつつある。これらを踏まえ、当初計画での作業分担やスケジュールはガイドラインとして維持しつつ、3年目である令和2年度は、ひきつづきメンバーそれぞれの研究活動の推進を基本としたい。平行して、研究代表者を中心に、他の研究者からの意見聴取の機会をさらに設けることとする。 また、同年度後半から翌年度(最終年度)前半にかけて、各メンバーの成果の共有と意見交換の場を集中的に設定し、改めて本課題で検討すべき論点や問題点を明確化して、最終年度内の目標達成を目指したい。
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Causes of Carryover |
研究計画遅延により、2年目(平成31年度)に予定していた研究打ち合わせ、研究会開催の一部を行い得なかったため、旅費および謝礼分につき未使用となった。また研究代表者・分担者個々の必要性により、一部物品費およびその他費用が未使用となった。 平成31年度に実施予定としていた未実施の研究打ち合わせ、研究会開催については3年目(平成32《令和2》年度)以降、時機をはかり実施することとする。
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