2021 Fiscal Year Research-status Report
刑の一部執行猶予を含む刑罰の重さの認知要因の解明と刑事司法運用への応用研究
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18K01230
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
藤田 政博 関西大学, 社会学部, 教授 (60377140)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 法と心理学 / 刑の一部執行猶予 / 刑事手続 / 証拠法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は国内・海外学会が相次いで延期・中止となったが、2021年度では、オンライン形式で開催される国際学会が出てきたため、本研究課題についてアジア犯罪学会のオンライン大会で発表を行った。(大会名称は2020。)この学会ではオンデマンド形式の発表で、説明動画をアップロードして参加者が閲覧し、電子掲示板等で議論を行うという形式であった。対面式での報告はできなかったものの、国際的な徴収に対して報告する機会を得た。 また、本研究課題は刑事司法における量刑の問題、刑事手続に関連するものであるが、刑事手続と心理学をつなぐ関連書籍としてSaks & Spellman (2016) Psychological Foundations of the Evidence Law (NYU Press) がある。本研究課題による研究開始後に、刑事専門弁護士の高野隆弁護士に教示を受ける中、刑事手続と心理学について考える上で必須の文献であるという認識に達し、本研究課題の調査・分析を行う傍らで翻訳作業を行ってきた。あいにく本研究課題においては最終年度の仕上げとして予定された国際学会での発表が延び延びになってきているが、その反面として、時間を確保することができたため、上記書籍の翻訳作業が完了し、2021年度中に出版することができた。これは本研究課題に関する研究計画を策定した時点では予想し得なかった成果である。本翻訳書籍は、本研究課題が関心の対象とする刑事手続における刑罰の決定方法に関連する刑事裁判の方法及びルール策定方法について、心理学的観点からの基盤的考察を提供するのみならず、他分野の訴訟に関しても基盤的影響を及ぼしうる書籍であり、法律実務家・立法関係者・基礎法学研究者・法と心理学者・心理学者といった関連領域の実務家と研究者の双方にとって有益な後見が可能な書籍となったと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度の仕上げとしての海外学会発表は、新型コロナウイルス感染症蔓延のため引き続き遅れている。2021年度はオンライン大会で発表することができ、やや取り戻すことができた。 しかし、その一方で、本研究課題で最も必要と考えていた文献調査、データ集及び分析は終了している。くわえて、本研究課題開始後に着手した量刑を含めた刑事裁判と心理学に関する翻訳書の出版が完了し、これは4年前後の研究事業の成果としてはかなり早く大きなものであると言える。 以上のように、新型コロナウイルス感染症によって混乱を受けた結果、当初予定より遅れた部分と、想定外に得られた成果の双方があるため、両者を合わせて(2)の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の蔓延状況とそれにともなう日本と海外の行き来に関する自由度についての影響に関しての状況は予断を許さないが、海外学会に参加する一方、学会発表に供したデータを論文として論文投稿を目指す。その際に追加でデータ収集が必要な場合にはそれに関する費用の支出が必要となると思われる。論文投稿に関して投稿料が必要な場合には投稿料が、外部の文章校正委託を行う際には文章校正料金の支出が見込まれる。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた国際学会への参加が新型コロナウイルス感染症の蔓延により延期になり、その旅費分の支出が繰り延べになっているため。この間に上がった研究成果もあるが、次年度は対面で実施される国際学会に参加して他国の研究者との意見交換を通じて本研究課題に関連する学術交流と発信を行うことを計画している。旅費を支出して残額があった場合は、論文投稿等の関連費用への支出を検討する。
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[Book] 証拠法の心理学的基礎2022
Author(s)
マイケル・J・サックス, バーバラ・A・スペルマン(著)高野 隆, 藤田 政博,和田 恵, 大橋 君平(訳)
Total Pages
352
Publisher
日本評論社
ISBN
978-4535525313