2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the cognitive factors of severity of punishment, including partial suspension of sentence, and its application to the operation of criminal justice
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18K01230
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
藤田 政博 関西大学, 社会学部, 教授 (60377140)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 刑の一部執行猶予 / 量刑 / 刑事司法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、初年度に刑の一部執行猶予制度に関連する先行研究調査を行い、問題設定の枠組を検討して第2年度目以降に質問紙調査を実施するに当たり、刑の重さの軽重を適切に測定できるか、回答しやすいかどうかの検討を行った。2年度目ではそれをふまえてデータ収集を行った。具体的には、インターネット上のサービスであるクラウドソーシングで調査を行った。3年度目の2020年度に研究計画通り国際学会で報告をする予定であったがコロナ禍が始まって国際学会が中止または延期となった。この間、日本国内での時間ができたため、刑事司法制度に関連する書籍の翻訳作業を行った。翻訳の成果は2021年度に日本評論社から出版することができた。2022年度も渡航制限が続き飛行機搭乗前のPCR検査で陰性反応が必須などの海外渡航制限が継続したため国際学会への参加を断念した。最終年度の2023年度にはコロナの五類移行で海外渡航が自由にできるようになり、最終年度では、2023年5月に開催されたアメリカ法社会学会の年次大会に参加した。この会議では、世界各国から集まった研究者と共に、刑事司法制度における量刑判断の実践と理論に関する情報交換とディスカッションを行った。この成果を踏まえ、本年度の研究活動を通じて、刑の一部執行猶予等を含む刑事司法制度における量刑判断等の心理学的研究に関する国際的な動向に接することができ、それを踏まえた論文を掲載した。これまでの研究では、上訴における不利益変更禁止の観点からの議論が行われていたが、本論文では、刑の判断においては刑の重さの主観的評価という別の観点が必要であることを主張し、主観的評価を行うためには心理学的手法が有効であることを指摘した。
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