2018 Fiscal Year Research-status Report
唐宋を中心とする前近代中国法の継承と発展に関する基礎的研究
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18K01232
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
川村 康 関西学院大学, 法学部, 教授 (00195158)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 基礎法学 / 法制史 / 法典編纂史 / 刑罰法典 / 東洋史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、当初、3回の研究会を開催する予定であったが、研究協力者(中村正人氏、七野敏光氏)の助力を得て、4回の研究会を開催することができた。これにより、当初予定していた、法制史学会第63回総会(平成23年)における口頭報告「宋勅の構造」の成果と内容についての再検討を果たすことができただけでなく、唐律と宋勅の間における断罪無正条条の変遷についても検討の手を伸ばすことができた。研究会では、研究代表者が口頭報告を行い、これに対して研究協力者両名から、それぞれの専門領域の視点と知見にもとづく質疑と意見を得ることにより、研究課題に対する理解を深めた。また、研究協力者(中村正人氏)による唐律疏議闘訟律の訳読とその検討を通じて、唐律と宋勅の比較対照研究の幅を広げることができた。 平成30年度に開催した研究会の具体的な日程と主な内容は以下のとおりである。 第1回研究会(平成30年9月29日・大阪):口頭報告「宋勅正文復原の方法」ならびにこれに対する質疑と意見 第2回研究会(平成30年11月17日・大阪):口頭報告「宋代における律と勅の関係」ならびにこれに対する質疑と意見 第3回研究会(平成31年1月13日・大阪):口頭報告「宋勅による唐律の補充修正と継承」ならびにこれに対する質疑と意見 第4回研究会(平成31年2月17日・大阪):口頭報告「唐名例律断罪無正条条と宋断獄勅断罪無正条条の関係」ならびにこれに対する質疑と意見
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、当初は3回の研究会を開催することを予定し、前掲口頭報告「宋勅の構造」の成果と内容についての再検討を行うことを中心的課題としていたが、研究協力者の助力を得て、4回の研究会を開催し、同口頭報告についての再検討に加えて、唐律と宋勅の間における断罪無正条条の変遷についても検討を行うことができた。この点では当初の計画以上の進展をみたといえる。他方、当初予定していた法典の比較研究に関する方法論についての聞き取り調査は実施することができず、それにもとづく方法論の見直しと展開はなされ得なかった。この点では若干の遅滞があったといえる。これらを総じていえば、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31/令和元年度以降は、前掲口頭報告「宋勅の構造」についての再検討の成果を基礎として、同口頭報告が対象としなかった宋勅の抽出と復原、その構造と内容の分析、ならびに唐律との比較検討を中心的課題とする。それらの課題に関する知見と助言を研究協力者から得るため、各年度2回から3回の研究会を開催する。この研究会においては、唐律と宋勅の比較対照研究の幅を広げるため、唐律疏議闘訟律の訳読とその検討も行う。各年度の具体的な研究実施計画は以下のとおりである。 【平成31/令和元年度】前掲口頭報告「宋勅の構造」で対象とした勅条に加え、同口頭報告が対象としなかった勅条に対しても、全般的な研究作業を及ぼす。これに関連して、大阪および金沢において、都合3回の研究会を開催する。作業の進展に応じて、中間報告的な論文を執筆し、『法と政治』(関西学院大学法政学会)に投稿する。 【令和2年度】平成31/令和元年度までの研究作業の妥当性を検証するため、大阪および金沢において、都合2回の研究会を開催する。また、これらの研究作業に対する助言と批判をより広く求めるために、東洋法制史研究会などの学術集会において、新たに口頭報告を行うことも検討する。 【令和3年度】令和2年度までの研究成果を総括し、前掲『法と政治』投稿論文に修正を加えて、唐律と宋勅の比較対照表、研究協力者からの寄稿などとともに、研究成果報告書に掲載して公表する。研究成果報告書の作成に関連して、大阪および金沢において、都合2回の研究会を開催する。
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