2020 Fiscal Year Research-status Report
唐宋を中心とする前近代中国法の継承と発展に関する基礎的研究
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18K01232
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
川村 康 関西学院大学, 法学部, 教授 (00195158)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 基礎法学 / 法制史 / 法典編纂史 / 刑罰法典 / 東洋史 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、当初は2回の研究会を開催する予定であったが、新型コロナウィルス感染症流行の影響により、対面形式での研究会の開催を断念せざるを得なくなった。これに代えて、研究協力者(中村正人氏、七野敏光氏)の助力を得て、電子メールを交換する形式で、1回の研究会を遠隔開催した。この研究会では、研究代表者が電子メールに報告の書面を添付して研究協力者両名に送付し、これに対する研究協力者からの電子メールによってそれぞれの専門領域の視点と知見にもとづく質問と意見を得、さらに電子メールによって質疑応答や意見交換を行うことによって、本研究課題の解決についての視野を広げることができた。この成果にもとづいて、『岩波講座 世界歴史 第7巻』(岩波書店、令和4年刊行予定)に収録予定の論文「法構造の新展開」(仮題)を執筆し、唐から元に至る法典編纂の歴史における宋勅の存在意義を確認することができた。 また、唐律と慶元勅の対応検証による宋勅の構造の解明をめざして令和元年度に執筆した、本研究課題の中間報告にあたる論文「宋代以勅補律考:宋律勅合編序説」を『法と政治』71巻1号(関西学院大学法政学会、令和2年5月)に公表することができた。さらに、この論文で扱わなかった宋勅の篇目についても『慶元条法事類』からの勅条の抽出と復原の作業を進めることができた。 令和2年度に開催した研究会の具体的な日程と主な内容は以下のとおりである。 第8回研究会(令和3年2月2日~20日・電子メールの交換による遠隔開催):書面報告「唐明間における法構造の新展開」ならびにこれに対する質疑と意見
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は、当初は2回の研究会を開催することを予定していたが、研究協力者の助力を得て1回の研究会を遠隔開催し、その成果にもとづいて前掲論文「法構造の新展開」(仮題)を執筆することができた。新型コロナウィルス感染症流行の影響により1回の研究会が開催できなかったにもかかわらず、これらの点では当初の計画にかなう進展をみたといえる。 唐律と宋勅の比較対照研究については、本研究課題の中間報告にあたる前掲論文「宋代以勅補律考:宋律勅合編序説」を公表することができたほか、この論文で扱わなかった宋勅の篇目についても『慶元条法事類』からの勅条の抽出と復原の作業を進めることができた。これらの点でも当初の計画にかなう進展をみたといえる。 他方、唐律と宋勅の対応条文の検出については充分に作業を進めることができず、宋代史談話会や法制史学会近畿部会などの学術集会における口頭報告の機会も得られなかった。これらの点では若干の遅滞があったといえる。 これらを総じていえば、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度である令和3年度においては、『慶元条法事類』からの勅条の抽出と復原を終了し、復原された宋勅と唐律との対応検証にもとづく対照表を作成して、研究成果を総括する。これらの成果は本研究課題の研究成果報告書に掲載して公表する。また、研究協力者を交えた研究会を最低1回は開催し、そこで行われた研究報告の成果も、この研究成果報告書に掲載して公表する。 このほか、宋代史談話会や法制史学会近畿部会などの学術集会における口頭報告の機会を得ることも検討している。
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