2020 Fiscal Year Research-status Report
伝統的許可制度の現代的変容―許可制度の再構築に向けた比較法研究
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18K01234
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米田 雅宏 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00377376)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 許可制度 / 行政行為の存続効 / 継続的法律関係 / 原子炉等規制法 / ドイツにおける行政法改革 / 法的安定性 / 職権取消・撤回 / バックフィット命令 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、改正原子炉規制法で導入されたバックフィット命令を素材に、O.Mayer以来の許可制度の古典的理解に現代的な修正が加えられていることを実定法に基づき検証した。その過程において、許可法制に<変化する事態に対応する柔軟性>や<比例原則に基づく精緻な利益調整機能>を認める場合、行為形式論中心的な物の見方には限界があること、むしろ継続的法律関係ないし規律構造論の視点から、許可要件と事後的措置要件と関連性に注意を向けるべきことを明らかにした。 また同時に、行政行為の存続効の研究を通じて、なぜ行政行為の効果が可能な限り維持されることが必要なのか、また行政法において法的安定性とはどのような意味を持つのか、さらに法的安定性と法治国家理念とはどのような関係に立つか等についても一部研究も行った。その成果については、次年度に公表予定である。 なお、当初の予定では本年度は研究計画最終年度であり、研究成果を各種研究会で報告し、意見・批判をフィートバックさせる予定であったが、コロナ禍ゆえ実施することができなかった。しかし、研究計画1年目に研究のベースとして公表していた拙稿「伝統的許可制度の現代的変容(上)(下)―原子炉設置許可とバックフィット命令を素材にして」法律時報90巻7号80-85頁、8号96-101頁(2018年)に、その後の研究の成果を反映させ加筆修正を加えた論考を、山下竜一編『原発再稼働と公法』(日本評論社、2021)に収録することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による影響で当初予定していた海外渡航の延期により、比較法研究が残されたため。また、研究会報告並びにそのフィードバックがなお不十分であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ある程度、ZOOM等を使用して研究報告の機会を確保すると同時に、比較法研究の部分については、海外からの書籍の取り寄せを増やすことにより対応したい。
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Causes of Carryover |
外務省から渡航に関する注意喚起が発令され、渡航先が入国制限措置及び入国後の行動制限を行っており、海外での現地調査等が困難になったため。また、所属研究機関の研究活動指針/行動指針レベルにより、研究報告のための研究会開催が困難になったため。 次年度においては、コロナの収束状況を見て、国内旅行が問題なくなり、また海外渡航も可能となれば、旅費として執行する予定でいる。
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