2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01243
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
君塚 正臣 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (80266379)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 刑事手続 / 司法審査 / 二重の基準論 / 適正手続 / 裁判官の独立 / 幸福追求権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の基盤となる研究を進めた。論文としては、「裁判官の独立──『司法権・憲法訴訟論』補遺(2)」横浜国際社会科学研究23巻1号19-57頁(2018年8月20日)、「立憲主義と二重の基準論──諸学問の知恵を踏まえて考え直す──『司法権・憲法訴訟論』補遺(3)」横浜国際社会科学研究23巻2号1-39頁(2018年9月20日)、「幸福追求権と司法審査基準──『私事と自己決定』の憲法的保障範囲と程度──『司法権・憲法訴訟論』補遺(4)」横浜法学26巻1号61-134頁(2018年9月25日)、「刑事法学界における憲法の取扱い」横浜国際社会科学研究23巻4号1-32頁(2019年2月20日)、「憲法14条『信条』による差別・再考──自由であるべきとされる『思想及び良心』との峻別は可能か」横浜法学27巻3号111-140頁(2019年3月25日)を公表した。研究ノートとしては、「法学部における『比較憲法』を考える──変容する法学部の中で『刑事政策』・『法社会学』との対比をしながら」横浜国際社会科学研究23巻3号123-132頁(2019年1月20日)を公表した。判例研究としては、合衆国最高裁判所判例研究会(2018年10月20日)での研究会報告に基づき、「州裁判所一審の有罪判決が上訴審で破棄された後、被告が有罪を根拠に付加的に支払った金銭を返還しないことなどは、修正14条1節に反するか───NELSON v. COLORADO, 581 U.S. -, 137 S. Ct. 1249 (2017)」横浜法学27巻2号263-286頁(2018年12月25日)を公表した。このほか、同研究会(2019年3月16日)で報告を行い、判例研究を提出済みである。また、『憲法判例百選Ⅰ』〔第7版〕掲載の判例研究も提出済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
業績の数、字数・頁数という意味での分量は相当なものとなったが、本基金に見合う研究という点では、その基盤となる部分の点検の途上であり、残余の作業を次年度にやや残した側面がある一方、それを基礎とする発展的な研究についても業績を発表し、あるいは準備に着手できた面もあるため、トータルでは概ね順調との評価が適切であると思える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、まず、憲法学界が刑事手続条項(憲法31-40条)をどのように扱ってきたかを検証し、その問題点を指摘する。次に、比較的人口に膾炙しがちな論点である、緊急逮捕と死刑の合憲性について検討を行い、これをきっかけに、刑事手続全体の司法判断のあるべき方向性を考えることを課題とする予定である。また、並行して、アメリカ憲法判例のうち、刑事手続に関するものの研究を進め、日本の刑事訴訟法学の成果も併せ読みながら、憲法学が取り上げるべき論点を模索し、今後取り組むべき問題を整理していく。
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Causes of Carryover |
本年度は、首都圏以外を開催地とする学会等がなかったため、旅費が思いのほか支出されなかった。次年度以降、この支出があるほか、余力があれば印刷費等に回される可能性もある。
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Remarks |
横浜国立大学webページより。
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