2021 Fiscal Year Research-status Report
An analysis of Legal Countermeasures to Hate Speech
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18K01244
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小谷 順子 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (40359972)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘイトスピーチ / 憎悪表現 / 表現の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021(R3)年度は、前年度に引き続き、ヘイトスピーチ(憎悪表現)への法的対処に関する憲法学上の諸論点のうち、日本国内における議論の国際的発信に取り組んだ。その基礎として、まず、大阪市ヘイトスピーチ対策条例を合憲とした2020(R2)年1月17日の大阪地裁判決に焦点を当てた判例評釈を刊行した。そこでは、当該判決におけるヘイトスピーチ規制の正当化理論を検証したうえで、刑罰規定をもたない自治体条例によるヘイトスピーチ規制の限界を指摘した([雑誌論文])。そのうえで、当該論文をふまえつつ、地方自治体の条例を通したヘイトスピーチ規制の課題を取りまとめて、国際学会(オンライン開催)において英語で報告を行った([学会発表])。これらの研究活動を通し、日本のヘイトスピーチ規制の特殊な手法とそれをめぐる日本国内の議論を紹介しつつ、それについての比較憲法学的な分析・考察を国際社会に発信することができたこととなり、一定の成果を挙げたと考えている。 なお、当該年度もまた、新型コロナウイルス感染症対策のため、国際学会がオンライン開催となり、それに伴い、十分な質疑応答及び意見交換の機会が得られなかったことを指摘しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画では、国内における研究活動に加え、国際学会等における報告及び意見交換を通した研究の発展を企図していたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、出張が不可能となり、資料収集等の機会が制限されたほか、学会等における意見交換も制限されたため、全般的に「やや遅れている」と評価せざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022(R4)年度は、取り残している諸課題に取り組むことを予定している。具体的には、まず、すでに収集を終えて分析を進めている判例及び学術論文をふまえつつ、必要に応じて追加の資料の収集及び分析を行ったうえで、その成果を論文又は学会報告という形でとりまとめたうえで公表することを計画している。また、研究成果の国際発信についても学会報告等の形で行いつつ、さらに、新型コロナウイルス感染症の流行状況にもよるが、海外の表現の自由分野の研究者との意見交換をより積極的に行い、国際共同研究の基礎を固めていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のため、国際学会出席のための出張を含む国内外すべての出張の中止を余儀なくされたことに加え、一部の物品及び書籍の購入を見送ったことから、当該年度の残額が発生した。なお、残額については、出張又は書籍等の購入等のための費用として次年度(令和4年度)に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)