2019 Fiscal Year Research-status Report
行政手続法各論としての環境影響評価法―法改正論議、国際比較法研究へのインプット
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18K01249
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
島村 健 神戸大学, 法学研究科, 教授 (50379492)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境影響評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に掲げた個別項目のうち、「個別のアセスメント事例の分析」については、これまでの事例のうち裁判例となっているものについて分析を進めている。近時の裁判例については、島村健「環境裁判例の動向」現代民事判例研究会編・民事判例ⅩⅥ2018年後期(2019年4月)52-57頁において簡単な紹介を行っている。 訴訟提起がなされていない環境影響評価実務については、法学者の分析があまりなされていない。近時の重要なアセス事例としては、石炭火力発電所の新増設にかかる環境影響評価手続を挙げることができる。これについては、発電所アセスの、一般的・制度的な問題点を整理し、また、司法的統制のための障壁(訴訟要件)について、島村健「発電所の設置にかかる環境影響評価とその司法的統制」上智法学62巻4号(古城誠先生退職記念号・2019年4月)183-197頁において分析し、公表した。 個別法をみてゆくと、国際的な基準からして、環境影響評価が行われることが求められているものの、日本においては、全くもしくは不十分にしか対応できていないものもある。たとえば、深海底の鉱物資源探索や、原子力発電所にかかる環境影響評価などが例に挙げられる。これについては、島村健「国際的な環境利益の国内法による実現 ―環境条約の国内実施・再論」行政法研究32号(2020年1月)73-116頁において一部検討を行った。これは、2019年度の環境法政策学会学術大会のシンポジウムにおける報告原稿を加筆・修正したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個別の事例の検討は順調に進んでいる。他方、国際比較については、研究が遅延している。2019年度終わりに、短期在外研究により比較法調査を予定していたが、それが実現せず、文献等を取り寄せ、検討を進めることとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
個別事例分析をさらに進めるとともに、研究がやや遅延している、ドイツ法やアメリカ法との比較法分析を踏まえて、「行政決定を行うために必要・十分・適正な情報が創出されるための条件を抽出し、環境影響評価制度の改善策を提案する」という研究目的を実行することとしたい。
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Causes of Carryover |
2019年度のおわりに短期の在外研究(法制度調査)を予定していたが、新型コロナウイルスの蔓延の拡がりにより、不可能になった。これについては、在外調査が可能になった時点で実施することにしたい。
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