2018 Fiscal Year Research-status Report
日米比較研究による公法解釈方法と公法教育方法論の架橋の試み
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18K01250
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福永 実 広島大学, 法務研究科, 教授 (10386526)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 制定法解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,「日米比較研究による公法解釈方法と公法教育方法論の架橋の試み」と題するものである。法曹養成がロースクールにより担われるようになって10年余,学生を真の法律家に育て挙げるためには判例のケースメソッド教育のみならず,その影に隠れた制定法解釈方法論の教育が必要である。日本がモデルとしたアメリカのロースクールでは,現在,制定法と行政法の融合教育が進んでおり,日本での公法カリキュラム改革に参考になる。更に,これを導く新たな解釈理論の存在も意識されなくてはならない。本研究は公法解釈方法と公法教育論に焦点を絞り,日本での現況と問題点の所在分析を踏まえ,比較法としてアメリカを措定し,日米比較研究によって我が国公法学での解釈方法論の思想と今後の発展可能性を考えつつ,この分析を踏まえて公法教育の改善点の視座をも得ることを目途とする。 具体的には第一に,わが国の裁判実務における立法経緯を利用した解釈動向を,膨大な判例分析を元にしてその起源あるいは傾向変化の時点を特定した上で,その要因をまずは探索すること,第二に,アメリカでの行政法教育論の動向分析,第三に,比較の視座を得るために,アメリカでの行政法解釈論の動向分析を行うものである。 初年度は,第一の,わが国の裁判実務における立法経緯を利用した解釈動向を探索することに傾注した。特に東京地判平成29年4月21日判時2349号3頁,及び最判平成29年12月18日民集71巻10号2364頁について研究報告をする機会を得て,研究会にて報告を行い,参加者からの知見も得ることができた。この業績については,近々,自治研究及び判例時報にて公刊の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,わが国の裁判実務における立法経緯を利用した解釈動向を,膨大な判例分析を元にしてその起源あるいは傾向変化の時点を特定した上で,その要因をまずは探索することに傾注した。特に二つの判例・裁判例について分析を行い,研究会にて報告を行い,参加者からの知見も得ることができた。この業績については,近々,公刊の予定である。 第二に,アメリカでの行政法解釈論の動向分析である。論文及び書籍から1800年代初期から文献収集につとめ,概ね,動向把握をすることができた。次年度は,それを元に研究の方向性について着想を得る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカでの行政法解釈論の動向分析を継続する。 秋期に研究報告,年度末に研究論文の公刊を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
購入した外国法書籍の納入が間に合わず,2296円の使い残しが生じた。翌年度に経費にあてる予定である。
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