2022 Fiscal Year Annual Research Report
An Attempt to Bridge Public Law Interpretation Methodology and Public Law Education Methodology Through Comparative Research in Japan and the United States
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18K01250
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福永 実 広島大学, 人間社会科学研究科(法), 教授 (10386526)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 制定法解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,行政機関が行う行政法解釈,即ち行政解釈(agency statutory interpretation)の方法論について,アメリカ法における議論の諸相を検討し,もって日本法への示唆を得ようとするものである 。 過年度においてアメリカ公法学説における論議を整理し,行政解釈方法論には行政機関の統制という固有の目標が存在し得るのではないか,との結論を得た。次に,上記の過程で得た分析枠組みを参考に,我が国での行政解釈方法論として,主観的解釈を原則としつつ客観的解釈に移行する場合の説明責任を政治部門に課す試案を示した。 近年,アメリカでは,West Virginia v. EPA, 142 S. Ct. 2587 (2022)において,「重要問題の法理(MQD)」の新展開が見られた。MQDは,行政機関が自ら経済・政治的に重要な決定権限を保持すると主張する際に議会の明確な授権を求めるものであり,条文の根拠が曖昧であるなら当該行政解釈を否定する。従来,MQDはChevron法理の枠組みの一部と位置付けられてきた 。これに対し本判決はChevron判決を引用すらせず,MQDをChevron法理とは関わりないものとして議論している。 MQDは,制定法解釈論レベルでChevron判決に象徴される憲法体制の転換を図ろうとする動向の中に位置付けて分析されるべきであるが,注意を要するのが,行政機関が,自らの権限の不在を主張する際にMQDを持ち出す動向があることである。本年は,このMQDを行政機関がどのような認識の下にどのように訴訟活動を行っているかについて,文献調査を下に実証研究をフォローした。
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