2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K01252
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 武史 九州大学, 法学研究院, 准教授 (40432405)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 公法学 / 結社の自由 / フーリガン / 団体規制 / スポーツ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、団体に対する公的規制を結社の自由に関わる憲法問題であると位置づけて、具体的な規制措置の憲法論的な分析と評価を行うとともに、新たな規制立法に対する憲法論的な視座を提示することである。 本研究が研究期間内で明らかにするのは、①団体規制における実体的要件は何か、②規制措置の手続要件は何か、③具体的な規制手段・措置はどのような内容のものがあるかであるが、初年度である2018年度は、スポーツの場面における団体規制を素材として、結社の自由などの基本的人権との関係を検討した。 具体的には、フランスにおけるフーリガン対策法制を取り上げて、サポーター個人やサポーター団体に対する刑事的規制並びに団体の強制的解散や相手方本拠地への移動禁止を中心とする行政的規制など、日本では見られない規制措置について分析・検討を行った。 このような規制措置は、当然のことながらフランスでも基本的権利との関係で問題とされており、本研究では、フランスのコンセイユ・デタ(行政裁判所)、憲法裁判所、そして欧州人権裁判所の判例を分析して、そうした規制措置がどのように憲法上正当化されているのかを明らかにした。 上記の研究成果は、「スポーツイベントの安全と公法的規制:フランスのフーリガン対策法制の憲法問題」毛利透・須賀博志・中山茂樹編著『比較憲法学の現状と展望:初宿正典先生古稀祝賀論文集』(成文堂、2018年、631―652頁)と題する論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に適合する具体的なテーマを見つけ出して、それらに関する素材の比較検討や分析ができた。 また、当該研究成果を九州公法判例研究会で報告できたこと、そして何より論文として公表することができた。 さらに、近時の日本でもサッカーの試合における暴力やヘイトスピーチが問題となっているほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えており、スポーツ団体規制はアクチャルな問題になりつつあり、本研究は今後の社会実装の面でも何らかの有益性をもつのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、初年度で分析・検討したスポーツイベントにおける個人規制・団体規制のその後の裁判例を検討することに加えて、別の側面の検討も行いたいと考えている。 具体的には、個人の特定・認証・プロファイリングなど規制手段・方法の進展に伴う憲法上の論点の抽出とその解決方法について検討を進める予定である。
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