2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Research of the Right to be no discrimination
Project/Area Number |
18K01253
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木村 草太 東京都立大学, 法学政治学研究科, 教授 (50361457)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 憲法 / 差別されない権利 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、採択課題の最終年度として、ここまでの研究を総括しつつ、最新の課題に一定の方向を示すための原稿をまとめることを目指した。 まず、最も成果が上がった領域として、家族法と差別されない権利の関係がある。本年度は、日本国憲法24条の制定に伴う民法改正の歴史を検討し、それと戦後の独仏家族法の改正経緯と比較しながら、その先進性や改正の方向性を分析した。これは、現代の差別されない権利の最先端問題が現れた夫婦別姓訴訟や同性婚訴訟の検討につながる。また、家族法の詳細な分析を進め、個別法の詳細な内容を検討しないと、憲法判断ができないということを示すことができた。民法750条の法的効果について未解明な部分があることを発見したことが重要な学界への貢献である。 次に、差別されない権利の関係で、欧米の文献を中心に「差別」概念を検討した。差別概念は、日本の最高裁判所の初期判例と同様に、「区別すること」ととらえられてきた。20世紀までに問題となった差別は、女性に選挙権を付与しない、異人種間の婚姻を認めないといった差別であり、「差別」を区別すること、「女性差別」・「人種差別」を性別で区別すること、人種で区別すること、といった概念定義をして、それをやめるべきとすれば処理できた。しかし、21世紀に入り、女性や特定人種へのアファーマティブアクションが問題となる。これは、差別解消のための性別・人種での区別なので、「性別で区別しない」・「人種で区別しない」というだけでは解決できない。また、これ自体が差別という批判も生ずる。このため、差別の概念を、ただ区別することではなく、ある種の悪性を伴う区別と定義したうえで、差別の悪性の概念を整理する必要が生じてきた。ここまでを欧米の文献を参照し、整理して、今後の研究課題を示した。
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Research Products
(6 results)