• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2019 Fiscal Year Research-status Report

一般否認規定に関する比較法的視点からの総合的研究

Research Project

Project/Area Number 18K01254
Research InstitutionOsaka Prefecture University

Principal Investigator

酒井 貴子  大阪府立大学, 経済学研究科, 教授 (40359782)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
KeywordsGAAR / Panel / 一般的否認規定 / PPT / 回転木馬詐欺
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、GAARの比較法的かつ包括的な研究を行うこととしている。
今年度、研究対象は、3つあった。
第一に、消費課税における税負担軽減行為とその対処策について改正動向を参考に検討を行うことである。回転木馬詐欺に類似した金の密輸に伴う消費税の問題について改正があった。GAARではなく個別具体的な対処規定が設けられた点について検討を加えた。
第二に、GAAR Panelについての研究である。Panelは、行政内部でGAARの適用の可否を検討する審議会といってよい。GAARの適用に予測可能性に欠けるところがあり、また、課税庁の恣意的な適用が懸念され、その懸念を排除するため海外で用いられているのは、Panelの制度である。オーストラリアと英国のGAAR Panel制度を比較法的に検討した。また我が国の類似制度(同族会社行為計算否認規定の導入当時の大正12年から15年の間に存在した審議会)についても考察した。なお、Panelの利用は、後述のMLIにおけるPPTでも検討されており、発展性があるといえる。
第三に、いわゆるMLIといわれるBEPS防止租税条約におけるPPT(主要目的テスト)についての研究である。PPTは、GAARと類似するが、裁判例がないなど素材が乏しいことは前年度に認識し、理論的に研究を進めることとした。資料を収集精読を進めるなか、PPTの予測可能性を高めるため、独特のシステムの構築なども検討されていることを見出し、これらについて今後論文執筆を行う。なお、研究報告の予定が3月にあったが、延期された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度後半における研究の遂行が滞った。
上記研究実施概要に示した研究内容のうち、1つ目についてはテキストの改訂作業及び改正補遺の作成が伴ったため、思った以上にリサーチに時間がかかった。3つめの項目について、資料収集及び精読は大方済んでいるが、2-3月における出張が取りやめとなり、3月に予定された研究報告が延期されたせいで、他の執筆依頼や研究計画との並行実施の必要性が生じたため、計画を修正し直す必要が生じたためだ。
今後は、研究内容を再点検し、順次計画的に研究発表を行うなど工夫を進めたい。

Strategy for Future Research Activity

今後においては、下記の2つ目の研究を進めるとともに、状況が許せば、可能な限り、研究課題の最終年度内で、研究成果をまとめる方向で推進していきたい。具体的には、主に3つある。
第一に、我が国における一般否認規定についての基本的な検討を行うことである。その際、我が国での所得課税(法人税と所得税)及び消費課税における税負担軽減事例とその対処策を参考にしたい。なお、これら日本法に係る考察はすでに7割の執筆が進んでいる。それらは、外国法の比較の土台とする。
第二に、世界的にGAARの導入傾向にあるが、いわゆるルール・オブ・ローの壁をどのように越えて制定されるに至ったのか、また、裁判例等GAARの適用例から法的な問題点がないかを洗う。特に研究対象としたいのは、英国のGAAR立法例である。その他、GAARを違憲と判断し、再立法した例なども合わせ検討する。さらに、各国の導入の沿革、GAAR実効性などを総合的にリサーチして論点を拾う。
第三に、GAAR導入により税制が簡素化するといわれることがあるが、簡素化とはどのようなものかを検討する必要がある。
以上の研究成果をこなしたうえで、最終年度として、研究成果をまとめる一つの体系的な研究成果を発するために、これまでの申請者が行ったGAARについての研究を整理し、大学の研究叢書などでの刊行を目指す。体系的な研究となるように、論点に取りこぼしのないように研究を進める予定である。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた主な理由)
該当の実施年度において、2-3月に予定していた国内外出張を取りやめざるを得ない状況となり、大幅な次年度使用額が生じた。
使用計画)
研究計画により遅れが出ないよう、収集した研究資料の大幅な整理を行い、研究対象の絞り込みを急ぐ。そのため、まず大量の資料を整理するにあたり、支援員を雇用することとし、執筆時間の確保を行う。次に、テレワークでの研究会実施のために、必要なPC環境を整備することとする。さらに、電子データでの資料収集を行えるように、引き続きデータ通信料に充てる予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020 2019

All Journal Article (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] GAAR PANELの比較法的検討2019

    • Author(s)
      酒井貴子
    • Journal Title

      税研

      Volume: 207 Pages: 27-33

    • DOI

      10.11501/2865404

  • [Book] 租税法(第二版)2020

    • Author(s)
      岡村忠生、酒井貴子、田中晶国
    • Total Pages
      323
    • Publisher
      有斐閣
    • ISBN
      4641221529

URL: 

Published: 2021-01-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi