2023 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive research on general anti-avoidance rules
Project/Area Number |
18K01254
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
酒井 貴子 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (40359782)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一般否認規定 / GAAR / 個別否認規定 / 行為計算否認規定 / 租税回避行為の否認 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては引き続き一般否認規定の意義や機能等について検討を進め、主に以下の3つの成果があった。 第一に、日本の法人税法132条等の対象を限定した一般否認規定に関する研究を行う中で、その適用が争われた令和4年4月21日最高裁判決について考察を行い、そのなかで今までの諸外国のGAAR(対象を限定しない一般否認規定)とも比較検討を行うことができた。結論として、納税者である企業が事業目的のもとで組織再編等を行う場合、より不自然かつ租税回避を意図した行為に基づく租税負担軽減行為でない限りは一般否認規定を発動すべきでないことを本判決の妥当性とともに確認できた。一般否認規定の発動はその意味で限定的であるべきである。 第二に、アメリカ法における租税属性の包括否認規定たる内国歳入法典269条および個別否認規定として特に欠損金控除を規制する内国歳入法典382条の動向に関する検討から、後者の行き過ぎた規制から生じる影響をみてなおも個別否認規定については制定後一定の評価を得ても他の隣接諸制度への影響を考察する必要性をみる必要性など、論文(3万5千字)にまとめ脱稿でき、後に共著の研究書として刊行予定である。 第三に、消費税課税における税負担軽減についての判例を検討し、また、コロナ禍により延長が繰り返された研究期間全体を通じて、デジタル経済の発展を目の当たりにしての時代の流れ汲む必要から検討範囲に組み込まざるを得ない状況があり、さらに、消費税に係るプラットフォーム課税も本研究に部分的に関係するものとして検討でき、徴収手続強化による課税逃れへの対処を検討し、報告の機会を得て講演録としてまとめ(脱稿済み)た。 さらに、テキスト(共著)の改訂作業を通じて、税制改正状況等を把握しつつ全体的な見直しを行うことができたことが上記研究の前提としてあったことを付け加える。
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