2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K01257
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
楠 茂樹 上智大学, 法学部, 教授 (70324598)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 公共調達 / 社会政策 / 付帯的政策 / 二次的政策 / 競争政策 / 入札 / 随意契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度においては、関連する国内外制度に係るサーベイを昨年度に引き続き行いつつ、財務省の会計制度研究会等、国や地方自治体の委員会等を通じて、実務的、制度運用面の情報収集と整理を進めた。男女雇用機会均等、障害者雇用、働き方改革といった政府が積極的に行う社会政策について、主として総合評価落札方式を通じた推進が図られている実態を相当程度明らかにすることができた(欧州(EU)公共調達におけるような付帯的政策の積極的推進には程遠く、それは何よりも、欧州公共調達指令のような付帯的政策を実現するための基本的な法的整備に欠け、公共工事品質確保法のような特別立法を「間接的に(迂回経路のように)」利用した社会政策の実現に止まっている等)。会計法、地方自治法といった基本的な立法における修正を施さなければ、この状態を改善することが困難であることが明らかになったといえ、そのための立法論上の示唆を導き出すことを研究期間後半の課題として(再)設定した。ここ15年ほどの公共調達改革のトレンドである「官民協働(PPP)」のあり方ともリンクさせながらの研究であることの確認も行った。後期においては、研究成果公表(比較法研究)に向け具体的作業を開始した。韓国の Daein Kim 教授( Ewha Womans University)等国内外の研究者との意見交換、情報交換を積極的に行い、2020年度前期末までに論文を作成し、投稿する予定である。なお、研究テーマに関して、2019年12月には上智大学国際関係研究所主催のシンポジウムにおいて「SDGsと公共事業」と題した講演を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に進捗している。諸外国のサーベイについては財務省会計制度研究会の調査や研究会における委員間の情報交換等を通じて、相当程度進めることができた。後期においては国際ジャーナルへの論文投稿準備も開始することができた。ただ、年度末に考えていた国内外への研究調査、ヒアリング等については新型コロナウィルス問題が2020年に入り深刻化した影響で変更を余儀なくされたことで研究活動が一部滞ったことは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス問題もあり2020年度の研究活動には不透明な部分があるが、可能な範囲で研究成果(英語、日本語)の公表を目指す。併せて2017年に上梓した『公共調達と競争政策の公的構造』の改訂版作成、あるいは射程を広げての新著作成を計画している。
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Causes of Carryover |
2020年に入り、新型コロナウィルス問題が深刻化し、移動制限が厳しくなったことで国内外の研究調査旅行の変更を余儀なくされたため。状況改善後、追加の調査旅行を行う予定。
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Research Products
(1 results)