2022 Fiscal Year Annual Research Report
The "family" in contemporary society and the Constitution of Japan.
Project/Area Number |
18K01259
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
田代 亜紀 専修大学, 法務研究科, 教授 (20447270)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 憲法 / 家族 / アメリカ / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、今までの研究のまとめとして、「『家族』・『婚姻』の憲法学的意味を探る―夫婦同氏と同性婚問題を素材として」と題する論稿を発表した。そこでは、憲法学における「家族」の位置づけや、「家族」についての現代的問題である夫婦同氏問題と同性婚問題を憲法学の観点から論じた。研究課題は、アメリカ憲法学を参照しながら実施するものであったので、適宜、アメリカにおける議論、フェミニストの議論を引用、参照しながら検討する内容とした。 本研究課題が対象とした「家族」は未だ多様化が拡大している状況であるが、研究期間全体を通して、「家族」または「家族」に関する問題をどのように憲法学的に捉えるかを、条文解釈やアメリカ憲法学、フェミニストの議論を参照しながら、検討した。 結論を簡単に述べれば、「家族」を従来どおりに法律婚や近代家族として捉えることの限界が理論的にも実社会的にも来ていることを示した。理論的には、最終年度の論稿で扱ったエリザベス・ブレイクといった論者だけでなく、フェミニストによる議論、またはアメリカ憲法学においても日本の憲法学、民法学においてもそのことが示されており、それらを適宜、示してきた。 実社会においても、今までの「家族」像では綻びが生じていることが、日本における夫婦別姓問題や日米における同性婚問題などで示されている。そうした訴訟における裁判所の論理とそれに関する評釈や議論を追うことで、学説においては、従来の「家族」像に留まらない柔軟な考え方が有力になってきていると考えられ、憲法解釈や民法解釈に影響を与えている。そうしたことを、最終年度の論稿のみならず、研究期間中に発表した論稿などで示してきた。
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