2019 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ合衆国大統領府の法律顧問に関する公法学的研究
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18K01262
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
北見 宏介 名城大学, 法学部, 准教授 (10455595)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 公法学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の第2年度である2019年度は、当初の計画に沿いつつ、大統領府法律顧問の活動実態と他アクターとの相互関係をテーマとした検討作業を行った。ここでは、各種政府資料・文献の分析を通じて、その活動実態に関しては、大統領府法律顧問の活動を4ないし5の場面に応じて整理する作業、各場面における大統領府法律顧問に係る法的規律の密度の確認、場面ごとの法律顧問の役割・寄与の方向(弁護士論におけるクライアント関係論)の検証、これらの大統領府法律顧問の活動に係る憲法理論的背景の検討を行った。 他方、政府内における他アクターとの相互関係については、大統領・大統領府内他組織という対内的な関係と、司法省及び省内機関・他省庁機関、議会との対外的な関係の双方についての検討に着手した。対内関係においては、特にClinton政権期とその後、学術的な議論も生じさせた、大統領府法律顧問の私的顧問的性格の薄まりと機構的性格の強まり、を検討の軸とし、また対外関係については、計画書の通り、司法省との関係に重点を置いた。大統領にとっての組織的・人的な法資源として位置してきた歴史のある司法省・法務総裁の、建国以来の大統領との距離関係と、大統領法律顧問・法務総裁・司法省内のいくつかの機関内の政府弁護士の活動形態の照らし合わせが、最終年度の作業課題になるものとの見通しを得た。 なお、上記の過程では、NARAのプロジェクトで作成されていた資料が、本研究課題にとって重要な検証素材となることを知るに至った。この分析も合わせて、第3年度の検討を進めることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第2年度の研究においては、当初の計画との関係で、ほぼ想定に沿った検討作業を行うことができた。もっとも、1)新たに知ることとなったNARAにおける資料については、十分に咀嚼したといいうるまでには分析検討を行っているわけではないこと、2)第1年度に生じた新事象に対する評価については、引き続き、かの国における状況を注視しつつ、その内容に基づき(、またおそらくはそれをClinton政権期においてなされた議論と比較することで)下す必要が残されていること、を認識している。この分だけ、作業が遅れているものと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の前期において、計画に沿いつつ、1)ここまでの新事象にかかるフォローアップを行うとともに、2)新資料の検証分析作業を行う。このうち2)については、計画書において予定している比較作業のうち、対象の一方の内容を明らかにするものであるため、重点的な分析を行うことが、年度内の作業計画にも適合するものと考えており、これに注力をする予定である。 年度の後期においては、年度内のかの国における関連する研究業績も可能な限り包摂しつつ、わが国の議論状況も視野に含みながら、これまでの検討作業を総括し、これを報告書及び論文等に反映させるための作業に取り組む。
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Causes of Carryover |
本研究の過程で、アメリカ合衆国における、本研究課題に関連する研究プロジェクトの書籍刊行が次年度において見込まれることが明らかになったため、基金による次年度繰越の利点を生かし、本年度における書籍購入を手控えつつ、次年度において執行するという判断に至ったため。
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