2020 Fiscal Year Annual Research Report
A research of legal remedies against planning approval decisions in Germany
Project/Area Number |
18K01264
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
湊 二郎 立命館大学, 法務研究科, 教授 (00362567)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 計画確定 / 法的救済 / 都市計画争訟 / 環境団体訴訟 / 計画維持 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,ドイツにおける計画確定決定の有する瑕疵を除去する仕組みとしての計画補完および補完手続について,連邦行政裁判所の判例を中心として検討を行い,立命館法学391号および392号に論説「計画確定決定と計画補完・補完手続(1)(2・完)」を掲載した。行政手続法75条1a項2文前段によると,計画確定決定が有意な瑕疵を有する場合であっても,それらが計画補完または補完手続によって除去されうるときには,裁判所は当該計画確定決定を取り消すことができない。計画補完は1970年代から判例によって形成されたもので,その典型例は,計画確定決定が騒音防止のために必要な規律を欠いている場合に,これを追完するというものである。瑕疵が計画補完によって除去されうる場合,裁判所は取消判決ではなく義務付け判決(通常は再決定義務付け判決)を下す。補完手続は,瑕疵が発生した手続段階からそれ以降の手続を再実施するというもので,瑕疵が補完手続によって除去されうる場合,裁判所は計画確定決定が違法であり執行不可能であることを確認する判決を下す。連邦行政裁判所が計画確定決定を取り消す判決をすることはきわめて稀であるが,瑕疵が計画補完によって除去可能であることから再決定義務付け判決を下したり,補完手続による瑕疵の除去可能性を理由として計画確定決定の違法性・執行不可能性を確認する判決を下すことは少なくない。 日本においては,2006年および2009年に,都市計画決定を直接争う制度の創設が提案されたところであるが,その後の進展はなく,決定に不服がある者の法的救済が充実しているとは言い難い。裁判所による適法性審査の機会を確保するとともに,処分を取り消すか否かの二者択一にとどまらない計画の修正等による問題解決の仕組みの構築が必要である。
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