2018 Fiscal Year Research-status Report
Cross-border Transaction and Tax Deferral
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18K01265
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
宮本 十至子 立命館大学, 経済学部, 教授 (30351315)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 課税繰延 / 国外転出時課税 / EU税法 / 租税回避防止指令 / BEPS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、課税繰延措置の日独米比較法研究を媒介とする、EU法の動向も踏まえながら、国境を跨ぐ居住地、財、機能の移転を伴う課税繰延便益と国際課税のあり方について提言することを目的とする。 平成30年度は、IFA総会(韓国、ソウル)、EATLP総会(スイス・チューリヒ)をはじめとした国際学会に参加し、tax transparency、taxation of corporate distributions などの国際課税の最新情報を収集し、研究を進めた。ドイツのマックスプランク租税法研究所滞在中の研究協力者の協力により、海外資料を収集した。租税法学会第47回総会の開催校幹事を引き受け、参加者と国際課税の課題について積極的な情報交換を図るとともに、スカイプ経由の研究会にも参加し、議論を重ねた。国内から研究者を招聘して、セミナーを開催し、米国の課税権離脱について意見交換した。 これらを踏まえ、国境を跨ぐ個人、法人の住所や財の移転に関して、繰延所得への課税を検討する前提として、流出国と流入国の異なる課税時期によって生ずる二重課税、税の徴収方法等について、国外転出時課税、出国課税に焦点を絞り、執行上の課題を明らかにし、研究報告を行い、論文を公表した(「国外転出時課税の執行上の課題」税研204号23-28頁(2019))。 デジタル社会における財、サービス、機能の移転とネクサスについて、とりわけ、EUのデジタル課税の提案に対する研究会での議論やOECDの中間報告を参考にしつつ、次年度以降、その動向についても研究に反映させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、研究代表者の学内の役職就任に伴い、十分な研究時間の確保ができず、課税繰延措置の類型化の分析が必ずしも十分行えなかった。国外からの研究者招聘について調整がうまくいかなかったが、次年度以降に調整をはかったうえで、これを実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、課税繰延措置の類型化、ドイツ法の分析を引き続き進める予定である。IFA総会(イギリス、ロンドン)、EATLP総会(スペイン、マドリッド)への参加、次年度以降のドイツでの研究の打ち合わせ(研究開始時期の変更を含む)、資料収集をかねた海外出張を行う。 平成30年度に国内及び海外から研究者を招聘してセミナーを開催することを予定していたが調整がうまくいかなかったため、次年度以降に実施し、比較法研究を発展させていく予定である。 新たな課題として、デジタル社会における無形資産を含む財、サービス、機能の移転とネクサスについて、欧米の議論を調査し、研究に反映していく。
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Causes of Carryover |
国外からの研究者招聘について調整がうまくいかず、セミナーが実施できなかったこと、ドイツ法データベースについて、大学契約が1年延長され、本予算で執行する必要がなくなったこと等によって、残額が生じた。 研究招聘予定者と調整を進め、次年度以降のセミナーの実施と新たな課題に関する文献購入で執行する予定である。
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Research Products
(3 results)