2019 Fiscal Year Research-status Report
Designing a multi-layered legal framework for the export of infrastructure services: Construction of the theory and its implementation in Asia
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18K01273
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
中川 淳司 中央学院大学, 現代教養学部, 教授 (20183080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際投資法 / 広域FTA / インフラサービス輸出 / 国際投資協定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績として、第一に、国際投資法の近年の変動を踏まえた概説を執筆したことが挙げられる(中川他『国際経済法【第3版】』(有斐閣、2019年)第13章「国際投資法」)。最近の国際投資協定が、投資家保護一辺倒ではなく投資受入国の規制権限にも配慮した実体規定と紛争解決手続を設けるようになっていることを指摘した。研究実績の第二として、インフラサービス輸出事業の多層的な法的枠組の各構成要素について、その形態と内容にいかなる要素を盛り込むべきか、そして、構成要素間の相互補完性と整合性をいかに保つべきかについて、考察を深めた。具体的には、火力発電、空港の建設と運営、高速道路の建設と運営、石油化学プラントを取り上げて、事業により多層的な法的枠組にどのような相違点と共通点が見出せるかを検討した。さらに、多層的な法的枠組の構成要素についても各事業ごとに具体例を取り上げて、その形態と内容を検討した。研究実績の第三として、インフラサービス輸出事業の多層的な法的枠組のうち、自由貿易協定(FTA)投資章について、いわゆる広域FTAを中心に近年の動向を検討した。その成果を以下の日本語および英文の論文として公表した。 Junji Nakagawa, Reinvigorating the WTO as a Negotiating Forum, in Nakagawa et al.,Strengthening the Rules-Based Trading System, Policy Centre for the New South, August 2019. 中川淳司「TPP11の日本企業への影響」『メディア展望』690号(2019年6月) 中川淳司「自由貿易体制の動向と日本の役割」『貿易と関税』2019年12月号
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インフラサービス輸出の多層的な法的枠組の最上位に位置付けられる国際投資協定についての総論的な研究と、広域FTAの投資章に焦点を当てた実証研究を進め、研究成果を日本語および英文で公表することができた。 インフラサービス輸出の多層的な法的枠組の各構成要素の形態及び内容についての研究を、インフラサービス輸出の類型(火力発電、空港の建設と運営、高速道路の建設と運営、石油化学プラント)に即して分析し、インフラサービス輸出事業によりどのような共通点と相違点が見出されるかについて理解を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は、インフラサービス輸出の類型ごとの多層的な法的枠組のモデルをアジアにおけるインフラサービス輸出に当てはめるための実装作業を行うことである。そのため、(1)事業契約、サービス契約、投融資契約、保証契約のモデル契約の起案、(2)主要なインフラサービス輸入国の国内法(公共調達関連法、サービス事業関連法、民法その他私法)の現状分析と法改正の提案、(3)これらの国と日本が締結している国際投資協定の改正提案を取りまとめる。インフラサービス輸出市場における公正な競争条件の確立という観点からは、特に受入国の公共調達関連法の整備と、調達手続きの透明性の確保が重要である。そこで、上記の実装作業に加えて、公共調達も出る法とモデル調達広告を起案する。 研究の成果を国際経済法学会(Society of International Economic Law)の研究大会で報告するほか、日本語および英文の論文として公表する。
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Causes of Carryover |
洋書購入の予算算定に当たり、想定していた為替レートよりも若干円高方向で実勢が推移したため、洋書購入費用が予算よりも若干低めに抑えられた。 次年度使用額は次年度の洋書購入費に加えて使用する。
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Research Products
(18 results)